低密度リポタンパク質(LDL)のラジカル反応において,アポリポタンパク質B-100とα-トコフェロールはシアル酸より反応性が高い

低密度リポタンパク質(LDL)が酸化反応を受け, マクロファージに取り込まれることが粥状動脈硬化の初発反応と考えられている. LDLは糖鎖を持つ512kDaのアポリポタンパク質B-100(アポB)と脂質から構成されている. ラジカル反応においては脂質の反応性が高いため, LDLの酸化反応については, 脂質過酸化に関する研究がほとんどである. しかし, LDLの一番外側に存在する糖鎖の修飾はマクロファージの認識に関与する可能性がある. 実際, 動脈硬化患者のLDLのシアル酸は減少しているという報告もあるが, 増加しているという報告もある. シアル酸の反応性からこの問題に何らかのアプローチが可能で...

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Veröffentlicht in:ビタミン 2004/03/25, Vol.78(3), pp.141-142
Hauptverfasser: 松川, 奈央, 成山, 陽子, 橋本, 亮子, 小城, 勝相
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:低密度リポタンパク質(LDL)が酸化反応を受け, マクロファージに取り込まれることが粥状動脈硬化の初発反応と考えられている. LDLは糖鎖を持つ512kDaのアポリポタンパク質B-100(アポB)と脂質から構成されている. ラジカル反応においては脂質の反応性が高いため, LDLの酸化反応については, 脂質過酸化に関する研究がほとんどである. しかし, LDLの一番外側に存在する糖鎖の修飾はマクロファージの認識に関与する可能性がある. 実際, 動脈硬化患者のLDLのシアル酸は減少しているという報告もあるが, 増加しているという報告もある. シアル酸の反応性からこの問題に何らかのアプローチが可能であると考えられる. 我々は, 以前にLDLの銅イオンによるラジカル反応でシアル酸が減少することを報告した1). シアル酸は他の糖とは異なり電子が豊富なカルボン酸陰イオンの近傍にC-H結合を持つため, 求電子的なラジカルに攻撃されやすいことを指摘した1)が, 実際, トランスフェリンのラジカル反応でも糖鎖の糖の中でシアル酸の反応性が最も高い2).
ISSN:0006-386X
2424-080X
DOI:10.20632/vso.78.3_141