8.D-アミノ酸オキシダーゼにおける,フラビンをめぐる水素結合の効果 Thr317の機能的および構造的役割
われわれが解明した, D-アミノ酸オキシダーゼ(DAO)の三次構造によって, フラビン環とタンパク質部分との間に, 水素結合ネットワークが明らかになった. それらは, Thr317OHを除いてすべてタンパク質のペプチド部分との水素結合である. したがって, 変異によって水素結合を除去できるのは, Thr317OHとフラビン環のC(2)=Oの間の水素結合である. そこで, Thr317Ala変異体酵素を作成し, その諸性質を野生型と比較することによって, その水素結合の効果を検証した. Thr317Ala変異体の補酵素FADに対する親和性(Kd=8. 9mM)は野生型(Kd=1. 1mM)に比べ...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | ビタミン 2004, Vol.78 (1), p.57-58 |
---|---|
1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | われわれが解明した, D-アミノ酸オキシダーゼ(DAO)の三次構造によって, フラビン環とタンパク質部分との間に, 水素結合ネットワークが明らかになった. それらは, Thr317OHを除いてすべてタンパク質のペプチド部分との水素結合である. したがって, 変異によって水素結合を除去できるのは, Thr317OHとフラビン環のC(2)=Oの間の水素結合である. そこで, Thr317Ala変異体酵素を作成し, その諸性質を野生型と比較することによって, その水素結合の効果を検証した. Thr317Ala変異体の補酵素FADに対する親和性(Kd=8. 9mM)は野生型(Kd=1. 1mM)に比べて低いことがわかり, Thr317OH…O=C(2)(フラビン)の水素結合がFAD結合に寄与することがわかった. この水素結合のフラビンの電子状態に対する効果を調べるために, 紫外可視スペクトル, NMRスペクトル(フラビンのC(2)を13Cに置換したFADで再構成させた酵素の13C-NMR), 共鳴ラマンスペクトルを測定した. いずれも, 変異型と野生型で有為の差がみられたが, その差は, 水素結合によってC(2)の電子密度が下がること, Thr317をAla317に変異させることによってフラビン付近の環境がより疎水的になることなどによって説明され, 問題の水素結合はフラビンの電子状態に影響を及ぼしていることが確認できた. |
---|---|
ISSN: | 0006-386X |