1.アスコルビン酸欠乏初期に見られる肝臓・急性期タンパク質の発現変動の機序に関する解析(第110回ビタミンC研究委員会研究発表要旨)
アスコルビン酸(AsA)合成不能のODSラット(雄, 6週齢)にAsA無添加飼料を与えた場合, 成長抑制が見られる以前の12~14日目において, 肝臓の急性期タンパク質(ハプトグロビン(HP), ω一酸性糖タンパク質(AGP))の発現が上昇する. また, この時点において, 炎症性サイトカインであるインターロイキンー6や炎症性ケモカインであるCINC-1(cytokin-induced neutrophil chemoattractant 1)の血中濃度も上昇する. この現象の発現機序を明らかにすることを目的として, AsA欠乏によって腸管から門脈血へのエンドトキシンの流入が起こったことにより...
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Veröffentlicht in: | ビタミン 2003/11/25, Vol.77(11), pp.613 |
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Hauptverfasser: | , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | アスコルビン酸(AsA)合成不能のODSラット(雄, 6週齢)にAsA無添加飼料を与えた場合, 成長抑制が見られる以前の12~14日目において, 肝臓の急性期タンパク質(ハプトグロビン(HP), ω一酸性糖タンパク質(AGP))の発現が上昇する. また, この時点において, 炎症性サイトカインであるインターロイキンー6や炎症性ケモカインであるCINC-1(cytokin-induced neutrophil chemoattractant 1)の血中濃度も上昇する. この現象の発現機序を明らかにすることを目的として, AsA欠乏によって腸管から門脈血へのエンドトキシンの流入が起こったことにより, 炎症性サイトカインが誘導され, 肝臓での急性期タンパク質の発現が上昇している可能性について検討した. 上記と同様のODSラットを用いて, AsA無添加飼料(欠乏群)を与えて14, 16および18日目の門脈血中のエンドトキシン濃度をAsA添加(300mg/kg)飼料を摂取した対照群と比較した. 肝臓のHPおよびAGPのmRNAレベルが確実に上昇している14日目においても, 欠乏群でエンドトキシン濃度の上昇を確認することができなかった. 次に, 実験開始時からneomycinおよびpolymyxinBを飲水中に入れてODSラットに与え, 腸内細菌を除去することによって腸管からのエンドトキシンの流入を阻止することを試みた. しかし, 12日および14日目の抗生物質投与した欠乏群においても肝臓のHPおよびAGPの発現上昇は観察された. 今回は, 我々が想定した可能性を支持する結果は得られなかった. 今後は, 他の可能性も含めて検討していきたい. 〔論議〕 橋詰委員 1)急性期タンパク質は炎症で上昇しますがC欠乏であると炎症にかかりやすい. そこで, CRPを測定してそれを否定しておく必要があるのではないか. 2)アラキドン酸カスケートにCが関与している可能性があります. 血小板由来のTXB2は血管を収縮させ血栓形成に働くと同じにTXB2はサイトカインを分泌させますので, それとの関係は? 堀尾委員 1)貴重なご指摘ですので, 今後, 検討させて頂きます. 2)CとTXB2の関係は, 既報にあるか分かりません. 自分達は今までに検討しておりません. 山本格委員 モルモットや潜在性C欠乏症のヒト等でも同様の現象が認められるものでしょうか. 堀尾委員 ヒトでは血中C濃度とインターロイキン6, AGPの濃度が負の相関であること, 逆に血中C濃度とApoA-1濃度が逆相関することが報告されている. モルモットでは自分たちも含めて検討していません. |
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ISSN: | 0006-386X 2424-080X |
DOI: | 10.20632/vso.77.11_613_1 |