1-III-1出芽酵母のピリドキシン合成に関与する遺伝子産物の解析(第55回大会一般研究発表)

大腸菌とは異なる経路でピリドキシン(PN)を合成する酵母Sacchharomyces cerevisiaeなどでPN合成に関与する遺伝子としてSNO1, SNZ1, RK1が同定されているが, それらの機能は良く知られていない. 今回前二者の産物がグルタミンを加水分解する機能をもつことを見いだしたので報告する. 遺伝子SNO1(675bp)とSNZ1(894bp)にHisタグを付けて, あるいは付けずにPCRで増幅し, pET21あるいはpET24にクローニングして発現プラスミドを作製した. 両者を個別にあるいは同時に大腸菌で発現した. Hisタグをもたない場合には常法で, もつ場合にはHis-Bindカラムを利用して精製した. HisタグをもつSNO1とHisタグをもたないSNZ1を同時に発現した場合, 後者もカラムに結合することから両者が複合体を形成することが分かった. しかもこの複合体はSNO1に由来する顕著なグルタミナーゼ活性を示した. この活性は不可逆的阻害剤であるDONによって顕著に阻害された. 個別に精製したSNO1とSNZ1を混合したときにも, 適当な条件ではグルタミナーゼ活性が認められた. 以上の結果はSN01がグルタミナーゼで, SNZ1は生じたアンモニアを未知の受容体に結合する合成酵素であることを強く示唆する.