コネキシン43によるNAD^+の膜輸送とリンパ球分化抗原CD38の相互作用

リンパ球分化抗原の一つであるCD38は, NAD+からのcyclic ADP-ribose(cADPR)の生成とcADPRのADP-riboseへの加水分解を触媒する二重の機能を有する酵素である. cADPRはほとんどの哺乳動物組織に存在しており, 細胞内Ca2+貯蔵部位よりCa2+を動員する能力を持っていることから, Ca2+によって調節される重要な機能に関与しているものと考えられている. CD38は46kDaのII型膜貫通糖タンパク質(カルボキシル末端が細胞膜の外側に存在する)であるが, 細胞内Ca2+動員能を持つcADPRを細胞の外に作るというパラドックスから, CD38/cADPR系の...

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Veröffentlicht in:ビタミン 2001/03/25, Vol.75(3), pp.135-138
Hauptverfasser: 梅澤, 智佐江, 新, 真理子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:リンパ球分化抗原の一つであるCD38は, NAD+からのcyclic ADP-ribose(cADPR)の生成とcADPRのADP-riboseへの加水分解を触媒する二重の機能を有する酵素である. cADPRはほとんどの哺乳動物組織に存在しており, 細胞内Ca2+貯蔵部位よりCa2+を動員する能力を持っていることから, Ca2+によって調節される重要な機能に関与しているものと考えられている. CD38は46kDaのII型膜貫通糖タンパク質(カルボキシル末端が細胞膜の外側に存在する)であるが, 細胞内Ca2+動員能を持つcADPRを細胞の外に作るというパラドックスから, CD38/cADPR系の免疫および生化学的機能に対して疑問が投げかけられていた. Zocchiらは, ヒトNamalwa B細胞をNAD+とインキュベートすると, 膜に結合しているCD38がインターナリゼーションをおこして細胞内cADPR合成酵素活性が上昇しcADPR濃度が高まること, すなわち小胞(vesicle)内に存在するCD38は細胞質NAD+にアクセスできることを示した. Zocchiらは続いてCD38を発現していないHela細胞と3T3細胞にヒトCD38遺伝子を導入することにより, CD38の基質であるNAD+の細胞内濃度の低下とcADPRの蓄積が見られること, さらに細胞質のCa2+濃度が上昇し細胞の倍加時間が短くなることを示した.
ISSN:0006-386X
2424-080X
DOI:10.20632/vso.75.3_135