肝細胞がん患者における肝組織中のビタミンK含量
生体には, 4種類の血液凝固因子(プロトロンビン, 第VII因子, 第IX因子, 第X因子), 2種類の凝固制御因子(protein C, protein S), 2種類の骨タンパク質(osteocalcin, matrix Gla protein)など多くのビタミンK(K)依存性タンパク質が存在する. Kは, これらの前駆体タンパク質のアミノ末端近傍に存在する特定のグルタミン酸残基(Glu)をγ-カルボキシルグルタミン酸(Gla)に修飾する反応(γ-カルボキシレーション)の補酵素(cofacter)として働くため, K欠乏状態あるいはワーファリンなどK拮抗物質の投与時には, GluからGla...
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Veröffentlicht in: | ビタミン 2000/10/25, Vol.74(10), pp.517-518 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 生体には, 4種類の血液凝固因子(プロトロンビン, 第VII因子, 第IX因子, 第X因子), 2種類の凝固制御因子(protein C, protein S), 2種類の骨タンパク質(osteocalcin, matrix Gla protein)など多くのビタミンK(K)依存性タンパク質が存在する. Kは, これらの前駆体タンパク質のアミノ末端近傍に存在する特定のグルタミン酸残基(Glu)をγ-カルボキシルグルタミン酸(Gla)に修飾する反応(γ-カルボキシレーション)の補酵素(cofacter)として働くため, K欠乏状態あるいはワーファリンなどK拮抗物質の投与時には, GluからGlaへの変換が阻害されて, K依存性因子は前駆体タンパク質の段階にとどまることになる. そこで, この前駆体タンパク質は, proteins induced in vitamin K absence(PIVKA)と呼ばれ, 臨床的にK欠乏症の診断に使用されている. 肝細胞がん患者では, 以前より腫瘍マーカーとして, α-fetoprotein(AFP)が使用されてきたが, 1984年Liebmanらは, ポリクローナル抗体を用いたRIA法で, 肝細胞がん患者で血清PIVKA-II(プロトロンビンのPIVKA)が増加していることを報告した. その後, モノクローナル抗体を用いたPIVKA-IIの測定法が開発され, 今日では, 血清PIVKA-IIは肝細胞がんに特異性が高い腫瘍マーカーとして臨床で頻用されている. |
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ISSN: | 0006-386X 2424-080X |
DOI: | 10.20632/vso.74.10_517 |