嫌気条件下におけるチアミン・ピリミジン部の生合成経路 : コハク酸、グリシンのピリミジン部への取り込み
チアミン, ピリミジン部の生合成経路は, 原核生物と真核生物とで異なる1). 原核生物では, 核酸プリン塩基の生合成経路の中間体である5-アミノイミダゾールリボヌクレオチド(AIR)から分岐して生成する2)-4). 真核生物について, 我々はヒスチジンとピリドキシンからピリミジン部が生成することを確認した5). これは, 振とう培養による好気条件下で解明された経路である. 最近, 我々は Escherichia coli を用いた実験において, 好気条件下でピリミジン部の前駆体である, ギ酸の炭素原子, グルタミンのアミド窒素原子が, 嫌気条件下では取り込まれないことを確認した6)7). また...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | ビタミン 1999/12/25, Vol.73(12), pp.721-726 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | チアミン, ピリミジン部の生合成経路は, 原核生物と真核生物とで異なる1). 原核生物では, 核酸プリン塩基の生合成経路の中間体である5-アミノイミダゾールリボヌクレオチド(AIR)から分岐して生成する2)-4). 真核生物について, 我々はヒスチジンとピリドキシンからピリミジン部が生成することを確認した5). これは, 振とう培養による好気条件下で解明された経路である. 最近, 我々は Escherichia coli を用いた実験において, 好気条件下でピリミジン部の前駆体である, ギ酸の炭素原子, グルタミンのアミド窒素原子が, 嫌気条件下では取り込まれないことを確認した6)7). また, Saccharomyces cerevisiae についても, 好気条件下で前駆体になるヒスチジン, ピリドキシンが共に嫌気条件下では取り込まれないことを確認し, 原核生物, 真核生物共に, ピリミジン部の生合成経路が嫌気条件下と好気条件下とで異なることを示した8). 嫌気条件下におけるピリミジン部の生合成経路については, 原核生物, 真核生物, ともに現在まったく確立されていなし, . コハク酸については, かつて中山らによる, E. coliのチアミン要求性変異株が嫌気条件下, コハク酸の添加によって生育しうるという報告がある9). また, Downsらによっても, チアミン要求性の Salmonella typhimuriumが, 嫌気条件下パントテン酸の添加で生育し, さらにチアミン要求性をパントテン酸で代替できない菌がいずれもコハク酸デヒドロゲナーゼを欠損していることが報告されている10)11). 中山ら, Downsらの報告から, 嫌気条件下でのピリミジン部の生合成にコハク酸の関与が推測される. そこで今回, 嫌気条件下におけるピリミジン部の生合成経路を解明するため, E. coli, S. cerevisiae において, コハク酸の取り込みを, また E. coliにおいて, 好気条件下で前駆体になるグリシンについて, ピリミジン部への取り込みを検討した. |
---|---|
ISSN: | 0006-386X 2424-080X |
DOI: | 10.20632/vso.73.12_721 |