テトラヒドロビオプテリンを介した一酸化窒素生成とインスリン分泌の相互制御

1. 一酸化窒素によるインスリン分泌減少 インスリン(INS)分泌が低下するType I 糖尿病はインターロイキン-1 (IL-1), 腫瘍壊死因子-α(TNF-α), インターフェロン-γ(IFN-γ)などのサイトカインが膵臓β-細胞機能を抑制することによって誘発される1). そのメカニズムは IL-1によってβ-細胞の iNos(誘導性一酸化窒素合成酵素)発現が促進され2), 生成された一酸化窒素(NO)が, アコニターゼのような鉄-硫黄タンパク質に結合して ATPの生産を抑える結果アポトーシスがおき, INS生産が低下することによる3). テトラヒドロビオプテリン(BH4)は NOS分子...

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Veröffentlicht in:ビタミン 1999/03/25, Vol.73(3), pp.208-209
Hauptverfasser: 藤本, 健吾, 加藤, 節子
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:1. 一酸化窒素によるインスリン分泌減少 インスリン(INS)分泌が低下するType I 糖尿病はインターロイキン-1 (IL-1), 腫瘍壊死因子-α(TNF-α), インターフェロン-γ(IFN-γ)などのサイトカインが膵臓β-細胞機能を抑制することによって誘発される1). そのメカニズムは IL-1によってβ-細胞の iNos(誘導性一酸化窒素合成酵素)発現が促進され2), 生成された一酸化窒素(NO)が, アコニターゼのような鉄-硫黄タンパク質に結合して ATPの生産を抑える結果アポトーシスがおき, INS生産が低下することによる3). テトラヒドロビオプテリン(BH4)は NOS分子が二量体を形成して活性型になるための必須因子であるから4), β-細胞における INS分泌量と NOの生産量は BH4合成能に依存するものと予想された. 最近, Laffranchiら5)はラットの insulinoma 細胞株(INS-1)を用いて, 種々の濃度の IL-1を添加したところ, 細胞による NO生産と INS分泌量の顕著な変動が見られた(図1). INS-1細胞をIL-1(10ng/ml)存在下で24時間培養すると INS分泌量は約70%阻害された(図1-A). このとき NOS阻害剤のL-NMMA(monomethyl-L-arginine)添加, あるいは IL-1とL-NMMAの同時添加では, INS分泌の阻害は見られなかった. IL-1誘導をかけない INS-1細胞は恒常的にごくわずかな(約1μM)NOしか生成しないが, IL-1添加により NO生成は約24倍に達していた(図1-B). したがって, INS-1細胞の INS分泌は NOに阻害されたと考えられる.
ISSN:0006-386X
2424-080X
DOI:10.20632/vso.73.3_208