フラビン酵素における構造と反応の連携

フラビン酵素は, 微生物から高等動物に至るまで生物界にあまねく存在し, それぞれ, 生命にとって不可欠の役割を担っている. フラビン酵素は, フラビン補酵素をもつ酵素の総称名である. フラビン補酵素の基本となっているリボフラビンはビタミンB2である. フラビン酵素群は, 生体内では酸化還元反応を触媒するが, 生体内の酸化還元反応は, その反応, 基質の両方において極めて多様であるにもかかわらず, フラビン酵素群はその大部分に直接的または間接的に関与することが知られている. このことは, フラビン補酵素が多種多様な触媒能力を備え持っていることの裏付けであり, この幅広い能力は他の補酵素に比べて際...

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Veröffentlicht in:ビタミン 1999/02/25, Vol.73(2), pp.73-82
1. Verfasser: 三浦, 洌
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:フラビン酵素は, 微生物から高等動物に至るまで生物界にあまねく存在し, それぞれ, 生命にとって不可欠の役割を担っている. フラビン酵素は, フラビン補酵素をもつ酵素の総称名である. フラビン補酵素の基本となっているリボフラビンはビタミンB2である. フラビン酵素群は, 生体内では酸化還元反応を触媒するが, 生体内の酸化還元反応は, その反応, 基質の両方において極めて多様であるにもかかわらず, フラビン酵素群はその大部分に直接的または間接的に関与することが知られている. このことは, フラビン補酵素が多種多様な触媒能力を備え持っていることの裏付けであり, この幅広い能力は他の補酵素に比べて際立った特徴である. しかし, この広範な触媒能力が個々のフラビン酵素において管理, 制御されない限り, 各々の酵素としての固有の機能が発現されることはない. すなわち, 個々のフラビン酵素においては, フラビン補酵素, 基質をとりまく環境, および補酵素と基質の相互の配向が巧妙に調節されることによって初めて, それぞれの酵素に特有の触媒反応が進行する. その意味で, 「構造と反応の連携」がフラビン酵素を理解するための本質の一つである.
ISSN:0006-386X
2424-080X
DOI:10.20632/vso.73.2_73