(4)葉酸の抗催奇形性

葉酸(folic acid, pteroylglutamate)およびその関連化合物が, ヌクレオチド類の生成やアミノ酸代謝などに関与していることは古くから知られている1), 2). また, 葉酸拮抗剤(antifolate)が, 白血病や腫瘍の化学療法剤として使用されたり, 抗菌剤として利用されている. 最近, 葉酸を服用することによって, 新生児における先天異常の発生を予防できることや血液中ホモシステイン量の増加による閉塞性循環器障害を防止できることが報告されている. このように, 解明することが期待されている葉酸の新しい生理機能が明らかになりつつある. そこで, 本稿では, 葉酸の胎児発...

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Veröffentlicht in:ビタミン 1999/01/23, Vol.73(1), pp.39-45
1. Verfasser: 渡辺, 敏明
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:葉酸(folic acid, pteroylglutamate)およびその関連化合物が, ヌクレオチド類の生成やアミノ酸代謝などに関与していることは古くから知られている1), 2). また, 葉酸拮抗剤(antifolate)が, 白血病や腫瘍の化学療法剤として使用されたり, 抗菌剤として利用されている. 最近, 葉酸を服用することによって, 新生児における先天異常の発生を予防できることや血液中ホモシステイン量の増加による閉塞性循環器障害を防止できることが報告されている. このように, 解明することが期待されている葉酸の新しい生理機能が明らかになりつつある. そこで, 本稿では, 葉酸の胎児発育および妊娠に及ぼす影響について, 考察を行った3)-5). 1. 葉酸の摂取量と欠乏症 成人における葉酸の基準値は, 血清で3~20ng/ml, 赤血球で200~800ng/ml細胞となっている. 赤血球でみた場合, 葉酸量が120ng/ml以下になると造血機能の異常をきたし, 巨赤芽球貧血(megaloblastic anemia), 神経障害, 腸機能不全などがおこる2). 先進国においても, 妊婦の3~5%に葉酸欠乏による巨赤芽球貧血がみられている. 葉酸の欠乏は, 北アメリカではビタミン欠乏症のうち最も多いといわれている.
ISSN:0006-386X
2424-080X
DOI:10.20632/vso.73.1_39