ビタミンK1(1mg)筋注後の新生児血漿中ビタミンK1エポキシド濃度

新生児はビタミンK(K)欠乏による出血性疾患をきたしやすく, その予防のために米国をはじめ多くの国では出生直後の新生児に, K1(1mg)を筋肉内注射している1). これら予防投与を受けた小児では癌の発生頻度が有意に高いことを, 1992年にGolding, J. らが報告し2), その原因と代わるべき今後の予防投与方法について多くの意見が出されている. Kは肝ミクロゾーム内において, その代謝過程でハイドロキシ-KからK-エポキシド(K-epox)になり, K-epoxリダクターゼによって元のKに戻るKサイクルを形成している3)(FIG. 1). このKサイクル内のK-epoxが1988年に...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:ビタミン 1998-07, Vol.72 (7), p.263-266
Hauptverfasser: 平池秀和, 阪本尚正, 木村美恵子, 糸川嘉則
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:新生児はビタミンK(K)欠乏による出血性疾患をきたしやすく, その予防のために米国をはじめ多くの国では出生直後の新生児に, K1(1mg)を筋肉内注射している1). これら予防投与を受けた小児では癌の発生頻度が有意に高いことを, 1992年にGolding, J. らが報告し2), その原因と代わるべき今後の予防投与方法について多くの意見が出されている. Kは肝ミクロゾーム内において, その代謝過程でハイドロキシ-KからK-エポキシド(K-epox)になり, K-epoxリダクターゼによって元のKに戻るKサイクルを形成している3)(FIG. 1). このKサイクル内のK-epoxが1988年に, 平内らの報告4)によって測定可能となった. 一般にエポキシド類は活性酸素を放出しやすく, DNAを傷害し発癌性があると報告されている5). そこで, 日本では骨粗鬆症に対し, Kが大量かつ長期間にわたり投与されている最近の傾向から, Kは脂溶性ビタミンで蓄積されやすいことと, その代謝物のエポキシドに危険がないのかとの心配がある. 近年, 日本では新生児に対し, Kシロップの経口投与が一般的になってきたが, 米国をはじめ筋注投与が主な地域も多い.
ISSN:0006-386X