活性型ビタミンDの骨粗鬆症治療剤としての評価

Alfacalcidol(1α-OH-D3)はcalcitriol(1α,25(OH)2D3)のプロドラッグであり, 慢性腎不全時等にみられるD代謝異常における諸症状の改善と骨粗鬆症を保険適応疾患としている. 前者は1981年, 後者は1983年に厚生省から医薬品製造承認され, 発売された. 表1にその効能, 効果をまとめた. 1α-OH-D3発売後, 臨床医から骨粗鬆症治療剤として認められ, 広く使用されるにいたり, 日本の医療界に定着し始めた頃, 1987年デンマークのオールボで第2回国際骨粗鬆症シンポジウムが開催された. 筆者はこの会に出席して活性型Dが骨粗鬆症治療薬として, 国際的に無...

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Veröffentlicht in:ビタミン 1998/06/25, Vol.72(5-6), pp.193-204
1. Verfasser: 西井, 易穂
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:Alfacalcidol(1α-OH-D3)はcalcitriol(1α,25(OH)2D3)のプロドラッグであり, 慢性腎不全時等にみられるD代謝異常における諸症状の改善と骨粗鬆症を保険適応疾患としている. 前者は1981年, 後者は1983年に厚生省から医薬品製造承認され, 発売された. 表1にその効能, 効果をまとめた. 1α-OH-D3発売後, 臨床医から骨粗鬆症治療剤として認められ, 広く使用されるにいたり, 日本の医療界に定着し始めた頃, 1987年デンマークのオールボで第2回国際骨粗鬆症シンポジウムが開催された. 筆者はこの会に出席して活性型Dが骨粗鬆症治療薬として, 国際的に無視されているばかりか, 副作用の強い意味のない薬であるとする雰囲気に驚いた. 帰国後, 1α-OH-D3を“国際的孤児”にするなと言う標榜を掲げて国際的認知を得ることに努力してきた. その為には社内の意志統一を計り, 研究の継続が可能な状況を作るとともに, 競合企業の帝人(株)とも意見交換を計り, 協力体制を構築した. また, 多くの日本の骨領域の指導的立場にある臨床医並びに研究者と相談し, 共同研究を行うなどして, 国際的防衛に当たった.
ISSN:0006-386X
2424-080X
DOI:10.20632/vso.72.5-6_193