日本の地域住民における血清過酸化脂質値と血清カロテノイド値との関連性
多くの疫学的観察研究により, 血清β-カロテン値の高い者では全がん, 殊に肺がん, 胃がんなどのがん罹患や死亡割合が少ないことが示されてきた1)~4). β-カロテンのがん抑制の一要因としては, 生体膜やDNAなどの損傷を生じさせる一重項酸素やラジカルなどの捕捉を介した抗酸化作用などの関与が重要視されている5)~10). これら活性酸素による脂質過酸化物は, がんのみならず循環器系疾患や老化などに対しても主要な危険因子の一つとされる7), 8), 11), 12). 疫学的調査における脂質過酸化物の指標としては, チオバルビツール酸反応物質(TBARS)が多く用いられている13)~17). こ...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | ビタミン 1997/09/25, Vol.71(9), pp.427-434 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , , , , , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 多くの疫学的観察研究により, 血清β-カロテン値の高い者では全がん, 殊に肺がん, 胃がんなどのがん罹患や死亡割合が少ないことが示されてきた1)~4). β-カロテンのがん抑制の一要因としては, 生体膜やDNAなどの損傷を生じさせる一重項酸素やラジカルなどの捕捉を介した抗酸化作用などの関与が重要視されている5)~10). これら活性酸素による脂質過酸化物は, がんのみならず循環器系疾患や老化などに対しても主要な危険因子の一つとされる7), 8), 11), 12). 疫学的調査における脂質過酸化物の指標としては, チオバルビツール酸反応物質(TBARS)が多く用いられている13)~17). この血清TBARS値は, β-カロテン投与により低下し17)~19), 血清TBARS値が高い地域住民では食道がんや肺がんの死亡率が高いという地域疫学的調査報告20)も見られる. また, 我々も一般住民などを対象とした断面調査では, 血清β-カロテン値が高い者で血清TBARS値が低く, キサントフィル類など他のカロテノイドについても同様な成績21), 22)を得ている. |
---|---|
ISSN: | 0006-386X 2424-080X |
DOI: | 10.20632/vso.71.9_427 |