ヒトにおけるビタミンA大量摂取による胎児への影響
ビタミンA(A)は視覚作用, 抗発癌作用や上皮の形成作用などを有するばかりでなく, 妊娠の維持や胎児の発育にも不可欠である1),2). 胎児および乳幼児におけるAの重要性については, すでにこの欄でも紹介したとおりである3). 多くの動物実験から, 妊娠中にAが不足すると胎児に眼, 心大血管, および尿路生殖器などの異常が誘発される. 一方, 過剰になると, 口蓋裂や中枢神経などの顔面頭部の異常を持つ胎児が高率にみられている. ヒトにおいても, 症例報告やコホート研究などでA大量摂取と胎児発育との関連が示唆されている. 最近, 合成Aであるレチノイン酸を経口摂取した婦人から生まれた児に顔面頭部...
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Veröffentlicht in: | ビタミン 1996/07/25, Vol.70(7), pp.338-341 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | ビタミンA(A)は視覚作用, 抗発癌作用や上皮の形成作用などを有するばかりでなく, 妊娠の維持や胎児の発育にも不可欠である1),2). 胎児および乳幼児におけるAの重要性については, すでにこの欄でも紹介したとおりである3). 多くの動物実験から, 妊娠中にAが不足すると胎児に眼, 心大血管, および尿路生殖器などの異常が誘発される. 一方, 過剰になると, 口蓋裂や中枢神経などの顔面頭部の異常を持つ胎児が高率にみられている. ヒトにおいても, 症例報告やコホート研究などでA大量摂取と胎児発育との関連が示唆されている. 最近, 合成Aであるレチノイン酸を経口摂取した婦人から生まれた児に顔面頭部の異常が誘発することが明らかになり, Aの催奇形性が問題となっている4). 1. 疫学調査 症例報告としては, 妊娠初期にAを20日間大量摂取(150, 000iu/日)した妊婦からの新生児に小頭症などの脳の異常がみられている. また妊娠中毎日A40,000iuあるいはA60,000iuを摂取した婦人の児に顔面頭部の異常が認められている. しかしながら, Aを大量摂取した妊婦を対象にした調査では, 妊娠初期4~6週間に50,000iu/日以上摂取した場合, 15名中3名に流産がみられたが, 出産した7名中6名の児(1名は2歳時に聴覚障害が認められた)は正常であった5). |
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ISSN: | 0006-386X 2424-080X |
DOI: | 10.20632/vso.70.7_338 |