L-アスコルビン酸2-リン酸(活性持続型ビタミンC)による細胞分化・器官形成誘導の分子機構
ビタミンC(V. C)はその抗壊血病作用からアスコルビン酸(AsA)とも呼ばれ, コラーゲン合成の際のプロリン残基, リジン残基の水酸化酵素のコファクターとしての作用, 生体物質の酸化からの保護, Fe3+からFe2+, Cu2+からCu+への還元, アミノ酸代謝における作用などが良く知られている1)~3). 我々はコラーゲンの代謝調節の研究中にAsAが培養線維芽細胞のコラーゲン合成を促進するとともに, 細胞の増殖を促進することを示し4), その作用機構に興味を持った. しかし, AsAは培養条件(中性溶液中, 37℃)では非常に不安定であり, また, 高濃度では細胞毒性を示すことから, 培養...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | ビタミン 1995/12/25, Vol.69(12), pp.675-688 |
---|---|
Hauptverfasser: | , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | ビタミンC(V. C)はその抗壊血病作用からアスコルビン酸(AsA)とも呼ばれ, コラーゲン合成の際のプロリン残基, リジン残基の水酸化酵素のコファクターとしての作用, 生体物質の酸化からの保護, Fe3+からFe2+, Cu2+からCu+への還元, アミノ酸代謝における作用などが良く知られている1)~3). 我々はコラーゲンの代謝調節の研究中にAsAが培養線維芽細胞のコラーゲン合成を促進するとともに, 細胞の増殖を促進することを示し4), その作用機構に興味を持った. しかし, AsAは培養条件(中性溶液中, 37℃)では非常に不安定であり, また, 高濃度では細胞毒性を示すことから, 培養条件で安定であり, かっ細胞が利用できるAsA誘導体を検索した. その結果, L-アスコルビン酸2-リン酸5)(Asc2-P)が安定であり, かつ, 種々の細胞でV. C作用を示すことから, 活性持続型V. Cと命名した6), 7)本稿では, Asc2-Pの性質とともに, その細胞分化における作用機構について述べる. 1. Asc2-Pの構造と代謝 AsAのコラーゲン合成活性化作用, 細胞増殖促進作用は0. 1mMの濃度で最大を示し, 1. 0mMでは0. 1mMの時より低くなるが4). これはAsAが培養液中ではデヒドロアルコルピン液(酸化型V. C)に容易に酸化され, この際に過酸化水素を生成するために高濃度のAsAは細胞毒作用を示すと考えられる8). |
---|---|
ISSN: | 0006-386X 2424-080X |
DOI: | 10.20632/vso.69.12_675 |