甲状腺機能亢進時にはトリプトファン-ナイアシン転換率は低下する?上昇する?

トリプトファン分解経路の意義は450種類以上の酵素の補酵素として活性中心に存在するNAD, 機能性タンパク質をADP-リボシル化するために必要なNAD, あるいは細胞内情報伝達物質のサイクリックADP-リボースの元となるNADを一定に供給することにある. このNAD, 広義にはナイアシンの欠乏が長期にわたると精神神経障害, 下痢, 皮膚炎を主症状とするペラグラとなる. 体内のNADを低下させる疾病として甲状腺機能亢進症が知られている1)3). この機構について詳細に研究した岡本らは4), 甲状腺機能亢進ラット(チロキシンを腹腔内投与することにより作成)では, kynurenine 3-hydr...

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Veröffentlicht in:ビタミン 1995/06/25, Vol.69(5-6), pp.348-350
1. Verfasser: 柴田, 克己
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:トリプトファン分解経路の意義は450種類以上の酵素の補酵素として活性中心に存在するNAD, 機能性タンパク質をADP-リボシル化するために必要なNAD, あるいは細胞内情報伝達物質のサイクリックADP-リボースの元となるNADを一定に供給することにある. このNAD, 広義にはナイアシンの欠乏が長期にわたると精神神経障害, 下痢, 皮膚炎を主症状とするペラグラとなる. 体内のNADを低下させる疾病として甲状腺機能亢進症が知られている1)3). この機構について詳細に研究した岡本らは4), 甲状腺機能亢進ラット(チロキシンを腹腔内投与することにより作成)では, kynurenine 3-hydroxylase活性が低下し, kynurenine aminotransferase活性が上昇するため, トリプトファンから生成したキヌレニンはナイアシンの前駆体となる3-ヒドロキシアンスラニル酸に変換されにくくなるためであると解明した. それ以来, 甲状腺機能亢進症では岡本ら4)の解明した機構により, トリプトファンからナイアシンヘの転換率が低下し, そのためNAD含量が低下するものと考えられている.
ISSN:0006-386X
2424-080X
DOI:10.20632/vso.69.5-6_348