乾癬とビタミンD : ビタミン・バイオファクターの新機能の発掘

活性型ビタミンD3(以下De)は最近ではカルシウム代謝を調節するビタミンというより, 細胞の増殖, 分化に関係したホルモンとして考えられるようになってきた. 従来より, 皮膚はD3の生成の場として重要視されていたが, D3の標的組織としての意義が注目されるようになった. その原動力となったのは, 活性型D3の乾癬治療に対する有効性の発見であろう. 即ち, その作用機序の解明が乾癬治療薬としてのD3の開発において重要と考えられたからである. 本稿では, 乾癬に対するD3の臨床効果とともに, 表皮ケラチノサイトの増殖と分化に対する作用にっいて著者らの実験結果を中心に述べたい. 尋常性乾癬は炎症性角...

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Veröffentlicht in:ビタミン 1995/01/25, Vol.69(1), pp.33-38
1. Verfasser: 橋本, 公二
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:活性型ビタミンD3(以下De)は最近ではカルシウム代謝を調節するビタミンというより, 細胞の増殖, 分化に関係したホルモンとして考えられるようになってきた. 従来より, 皮膚はD3の生成の場として重要視されていたが, D3の標的組織としての意義が注目されるようになった. その原動力となったのは, 活性型D3の乾癬治療に対する有効性の発見であろう. 即ち, その作用機序の解明が乾癬治療薬としてのD3の開発において重要と考えられたからである. 本稿では, 乾癬に対するD3の臨床効果とともに, 表皮ケラチノサイトの増殖と分化に対する作用にっいて著者らの実験結果を中心に述べたい. 尋常性乾癬は炎症性角化症の代表的なものであり, 厚い白色あるいは銀白色の鱗屑を付着した紅斑が全身皮膚に多発する. 難治性で, 軽快と悪化を繰り返しながら慢性に経過し, 患者にとっては極めて精神的負担が大きい疾患と言えよう. 一度発症すると, 完治することは難しいため, 患者数は増大しつつあり, 本邦では35万人程度の患者数が存在すると推測されている. 因に, 米国では数百万人の患者が存在し, 皮膚科領域における代表的疾患といっても過言ではない. 皮膚は構造的に表皮と真皮に分けられるが, 尋常性乾癬の病変の中心は表皮にあり, 表皮の過剰な増殖肥厚を特色とする. 表皮細胞は基底細胞層で分裂し, 角質層より脱落する.
ISSN:0006-386X
2424-080X
DOI:10.20632/vso.69.1_33