ビタミンB12欠乏ラットにおける飼料タンパク質の利用

「緒言」 ビタミンB12(B12)はmethionine(Met)synthaseの補酵素として関与することから, B12と飼料タンパク質の利用との関連についての報告は多い. 既に1950年代, 栄養価の低い植物性タンパク質飼料で飼育したラットに対するB12の投与ならびにB12と制限アミノ酸の同時給与はタンパク質効率(PER:protein efficiency ratio), 生物価(biological value)を増加させることが報告されている1)～6). 次いで1960年代にはB12および葉酸欠乏ラットにB12と葉酸を投与した場合, 成長遅延が改善され, PER, 窒素出納の上昇が報告された7). また同様にB12および葉酸欠乏ラットの尿中窒素化合物排泄量の変動, 窒素出納の低下が報告され, B12欠乏では飼料タンパク質の利用が低下することが示唆されている8). しかし1950年代の報告の中にはB12欠乏状態を呈さないラットを用いた成績1)'2)'5), B12と制限アミノ酸の同時給与の成績が見られる3), 4), 6).