リン脂質二分子膜におけるα-トコフェロールの局在性と運動性
膜におけるα-Tocの存在形態については多くの報告があり, 本トピックスでも何度か採りあげて紹介した. 今回はα-Toc自身が固有の蛍光を有することに着目し, 膜に取り込まれたα-Tocの蛍光が, 同じく膜に取り込ませた消光剤によって動的消光 (dinamic quenching) を示すことから, α-Tocの膜の局在性と運動性について考察したArandaらの論文を紹介する. 彼らはスピンプローブのニトロキシド基及び蛍光プローブのアンスロイルオキシ基で脂肪酸鎖の様々な部位を標識したステアリン酸 (それぞれNS, ASと略す) を, α-Tocとともに卵黄レシチンから調製したリポソーム膜に取り...
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Veröffentlicht in: | ビタミン 1990/06/25, Vol.64(5-6), pp.337-338 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 膜におけるα-Tocの存在形態については多くの報告があり, 本トピックスでも何度か採りあげて紹介した. 今回はα-Toc自身が固有の蛍光を有することに着目し, 膜に取り込まれたα-Tocの蛍光が, 同じく膜に取り込ませた消光剤によって動的消光 (dinamic quenching) を示すことから, α-Tocの膜の局在性と運動性について考察したArandaらの論文を紹介する. 彼らはスピンプローブのニトロキシド基及び蛍光プローブのアンスロイルオキシ基で脂肪酸鎖の様々な部位を標識したステアリン酸 (それぞれNS, ASと略す) を, α-Tocとともに卵黄レシチンから調製したリポソーム膜に取り込ませ, α-Tocの蛍光強度の減少を測定した結果, 消光剤としてステアリン酸の5位の炭素がニトロキシド基で標識された5-NSを含むリポソームの場合, (1) その膜中の含量の増加に伴って減少するα-Tocの蛍光強度のStern-Volmerプロットが直線性を示したことや, (2) α-Tocと等量の5-NSが存在する時と5-NSが存在しない時のα-Tocの蛍光寿命の比 (τ/τ0) と蛍光量子収量の比 (φ/φ0) が等しい値を示したことから, この5-NSによるα-Tocの消光は, 励起状態のα-Toc分子が5-NS分子と衝突して励起エネルギーを失うために起こるといわれる動的消光機序によっていることを明らかにし, ステアリン酸の16位の炭素をニトロキシド基で標識した16-NSに比べて5-NSの方がα-Tocの蛍光をよく強く消光したことから, α-Tocの蛍光発現に関与するクロマン環は, リポソーム膜の内奥部ではなく膜表面に近い疏水性部に存在することを示唆している. |
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ISSN: | 0006-386X 2424-080X |
DOI: | 10.20632/vso.64.5-6_337 |