心臓の虚血並びに再還流時に生成するフリーラジカル : ESRによる直接証明
虚血による障害が血流を再開した際に一層悪化することはよく知られており, ラジカル消去剤によってこの劣悪化が防止されることなどから, その要因として活性酸素ラジカルの関与が推測されているが確証はない. 最近, 心臓虚血並びに血流再開時に産生するフリーラジカルをESR法により直接測定するのに成功したことが, Zweierらによって報告されているので紹介する. Zweierらは単離したウサギの心臓を95%O2-5%CO2で飽和させた37℃のクレブス-炭酸緩衝液で還流する実験法を用い, 虚血前, 10分間の虚血及び虚血後還流を再開したときの組織中のラジカルをESRを用いて調べている. スペクトルの測定...
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Veröffentlicht in: | ビタミン 1988/10/25, Vol.62(10), pp.585-586 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 虚血による障害が血流を再開した際に一層悪化することはよく知られており, ラジカル消去剤によってこの劣悪化が防止されることなどから, その要因として活性酸素ラジカルの関与が推測されているが確証はない. 最近, 心臓虚血並びに血流再開時に産生するフリーラジカルをESR法により直接測定するのに成功したことが, Zweierらによって報告されているので紹介する. Zweierらは単離したウサギの心臓を95%O2-5%CO2で飽和させた37℃のクレブス-炭酸緩衝液で還流する実験法を用い, 虚血前, 10分間の虚血及び虚血後還流を再開したときの組織中のラジカルをESRを用いて調べている. スペクトルの測定は心臓組織を-196℃で直ちに凍結し, 次いで液体チッ素中で粉末状にしたものを試料として-196℃で行われている. その結果, -80℃でも安定で対称性のスペクトルを示すg=2.004の等方性ラジカル(A)と, 非対称なスペクトルを示すg//= 2.033及びg⊥=2.005の異方性ラジカル(B)(-80℃の高温では非常に不安定でスペクトルは直ちに消失する), 超微細分裂an=24G, g=2,000のトリプレットシグナルを示すラジカル(C)の3種のラジカルに由来するESRスペクトルが観測された. |
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ISSN: | 0006-386X 2424-080X |
DOI: | 10.20632/vso.62.10_585 |