リポゾーム膜においてアスコルビン酸-Fe2+により誘導される脂質過酸化反応に対するトコフェロールの抗酸化作用

「緒言」 E(Toc)が非特異的な抗酸化作用を有することは発見当初から指摘されており, 古くから食品中の不飽和脂肪酸やA, カロチンなどの酸化防止剤として用いられてきた. 一方, Eの所要量は摂取する不飽和脂肪酸の量と深い関連があり, E欠乏飼料とともにトウモロコシ油のような不飽和度の高い油を与えるとE欠乏症の発現が促進されること, あるいはE欠乏動物の組織や臓器では脂質過酸化物の量が増大していることなどから, 生体内でも抗酸化剤としての作用, とりわけEはそのほとんどが生体膜に存在していることから, 膜脂質の抗酸化がEの第一義的な作用であろうと考えられている. ところで食用油の光酸化あるいは...

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Veröffentlicht in:ビタミン 1982-12, Vol.56 (12), p.641-652
Hauptverfasser: 福沢健治, 千田尚子, 大内節博, 徳村彰, 塚谷博昭
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「緒言」 E(Toc)が非特異的な抗酸化作用を有することは発見当初から指摘されており, 古くから食品中の不飽和脂肪酸やA, カロチンなどの酸化防止剤として用いられてきた. 一方, Eの所要量は摂取する不飽和脂肪酸の量と深い関連があり, E欠乏飼料とともにトウモロコシ油のような不飽和度の高い油を与えるとE欠乏症の発現が促進されること, あるいはE欠乏動物の組織や臓器では脂質過酸化物の量が増大していることなどから, 生体内でも抗酸化剤としての作用, とりわけEはそのほとんどが生体膜に存在していることから, 膜脂質の抗酸化がEの第一義的な作用であろうと考えられている. ところで食用油の光酸化あるいは高温加熱による自動酸化に対するToc同族体の抗酸化活性(脂質過酸化の抑制を持続する能力)はδ->γ->β->α-Tocの順(抗酸化効果の持続時間はα-Tocが最も短い)で筋ジストロフィー(ヒナ)や胎児吸収(ラット), あるいはin vivo投与, in vitro添加による抗溶血作用などで検定された生物活性(α->β->γ->δ-Toc)とは逆の関係にあり, この点がEの抗酸化説の一つの問題点になっている.
ISSN:0006-386X