大腸菌におけるリン酸エステル型ビタミンB6の取込みと利用

有機リン酸エステル化合物は一般に生体膜を透過しないとされているが, その数少ない例外の一つにPALPが赤血球にそのままの形で取り込まれることがあげられる. また腹水腫瘍細胞においても類似の現象が示唆されている. 大腸菌においては, 生合成されたB6化合物がリン酸エステルの形で排出されるという報告があり, 赤血球の場合との類似性が示唆される一方, 培地にリン酸エステル型B6を添加しても, PIN, PALを添加した場合とは異なりB6生合成の抑制が起こらないことから, 菌体内に取り込まれない可能性も示唆されている. この問題を解明する一助として, 著者らはこのたび主にB6要求性大腸菌変異株を用いて...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:ビタミン 1976-08, Vol.50 (8), p.313-318
Hauptverfasser: 山田良平, 辻孝彦
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:有機リン酸エステル化合物は一般に生体膜を透過しないとされているが, その数少ない例外の一つにPALPが赤血球にそのままの形で取り込まれることがあげられる. また腹水腫瘍細胞においても類似の現象が示唆されている. 大腸菌においては, 生合成されたB6化合物がリン酸エステルの形で排出されるという報告があり, 赤血球の場合との類似性が示唆される一方, 培地にリン酸エステル型B6を添加しても, PIN, PALを添加した場合とは異なりB6生合成の抑制が起こらないことから, 菌体内に取り込まれない可能性も示唆されている. この問題を解明する一助として, 著者らはこのたび主にB6要求性大腸菌変異株を用いて, PINP, PALP, PAMPの増殖への利用及びその取込みをPIN, PAL, PAMと対比して調べた. 実験結果は, リン酸エステル型B6は加水分解されて遊離型に変化することなしには, 菌体膜を外から内へ透過することはないことを示した.
ISSN:0006-386X