神経機能回復に対するビタミンB群の作用

B群は臨床上多くの疾患の治療に用いられ, 特にB1, B6, およびB12はその欠乏症による神経障害はいうに及ばず, 各種神経疾患(欠乏が明らかでない代謝, 中毒, 腫瘍によるもの, 脳循環障害など)にいたるまで, かなりの有効性が実証され, 特に神経再生とその機能回復について多くの知見が報告されている. これを表付ける基礎的実験として, B1誘導体については, 藤原ら, 中沢がin vitroでその効果を認め, さらに中沢らは坐骨神経切断ウサギでその機能回復促進を筋電図を指標とし観察している. B12誘導体については中沢らがウサギで神経再生能力促進を認めている. また山津らはCH3-B12が...

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Veröffentlicht in:ビタミン 1974/08/25, Vol.48(8), pp.377-384
Hauptverfasser: 篠崎, 温彦, 石川, 道雄, 足立, 堅一, 藤井, 祐一, 石井, 靖男
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:B群は臨床上多くの疾患の治療に用いられ, 特にB1, B6, およびB12はその欠乏症による神経障害はいうに及ばず, 各種神経疾患(欠乏が明らかでない代謝, 中毒, 腫瘍によるもの, 脳循環障害など)にいたるまで, かなりの有効性が実証され, 特に神経再生とその機能回復について多くの知見が報告されている. これを表付ける基礎的実験として, B1誘導体については, 藤原ら, 中沢がin vitroでその効果を認め, さらに中沢らは坐骨神経切断ウサギでその機能回復促進を筋電図を指標とし観察している. B12誘導体については中沢らがウサギで神経再生能力促進を認めている. また山津らはCH3-B12が圧挫神経標本のタンパク分画への3H-leucineの取込みを増大させることを報告している. B6については末梢障害に対する基礎実験の報告はあまりない. 実験的にneuropathyを起こさせる方法は種々報告されているが, 今回我々はラットのacrylamide中毒を用いた. acrylamide中毒のいわゆるdying-back neuropathyによる多発神経炎については, ヒトでGarlandら, およびFullertonら, 実験動物では中沢ら, 猪狩, およびFullertonらにより報告されている. Acrylamide中毒症状に対し, B1の効果は中沢らがウサギの歩行異常, 歩行不能に要する日数および生存日数の延長を報告している. しかしB6, B12についての報告はない. そこでまず, B1, B6, B12およびこれらの合剤についてその実験神経炎に対する作用を一般症状を指標として検討した. 神経機能の維持および回復については同じくacrylamide多発神経炎において抹消神経障害の客観的評価の一方法である神経伝導速度を指標にして検討した. 一方B群の神経再生の側面については, 坐骨神経圧挫による神経障害の治癒過程を電気生理学的方法で調べた.
ISSN:0006-386X
2424-080X
DOI:10.20632/vso.48.8_377