肝の再生に伴なう肝内ビタミンB2およびB1の変化

さきに著者らは消化管粘膜上皮細胞の分裂は鉄欠乏時には抑制されるが, B2欠乏時には抑制されないことを示し, またSchweigertらは肝切後に起こる肝の再生はB12欠乏時には抑制されるが, B2欠乏時には抑制されない成績を報告した. B2欠乏状態でも細胞分裂はあまり抑制されないというこれらの成績は, 鉄欠乏やB12欠乏の粘膜症状が萎縮性の変化であるのにたいしてB2欠乏では増殖性の変化であるという臨床所見を細胞分裂の立場から裏づけたものではあるが, 常識を越えた予想外の成績であつた. それは一見, 細胞分裂にはB2はそれほど必要ではないようにみえる成績であるからである. しかし生体全体としては...

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Veröffentlicht in:ビタミン 1965-11, Vol.32 (5), p.430-433
Hauptverfasser: 宮地一馬, 中村佐知子, 石津汪, 三宅隆生, 桝屋富一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:さきに著者らは消化管粘膜上皮細胞の分裂は鉄欠乏時には抑制されるが, B2欠乏時には抑制されないことを示し, またSchweigertらは肝切後に起こる肝の再生はB12欠乏時には抑制されるが, B2欠乏時には抑制されない成績を報告した. B2欠乏状態でも細胞分裂はあまり抑制されないというこれらの成績は, 鉄欠乏やB12欠乏の粘膜症状が萎縮性の変化であるのにたいしてB2欠乏では増殖性の変化であるという臨床所見を細胞分裂の立場から裏づけたものではあるが, 常識を越えた予想外の成績であつた. それは一見, 細胞分裂にはB2はそれほど必要ではないようにみえる成績であるからである. しかし生体全体としては欠乏であつても細胞分裂がおこつている組織にはそれほどの欠乏はないことも考えられるので, はたしてそうであるかどうかを検討するためには, さらに細胞分裂が起こるにつれて組織のB2がどのように変わるかを知ることが必要になつた. そこで肝切後におこる再生肝について, 肝内B2量がどのように変わるかを正常状態とB2欠乏状態で調べてみた.
ISSN:0006-386X