Lactobacillus pastorianus類の生化学的研究 : (IV)B3号菌およびB4号菌の菌学的諸性質

B3号菌およびB4号菌は発見当初人工培地および煮沸麦汁に生育できなかつたのでB1号菌に属するものと考えていた. しかるにビールおよび麦汁にたいする生育能を調べた, 結果両菌はともに無菌濾過麦汁に生育するが, 煮沸ビールに生育せしめることは困難でB1号菌とはもちろんB2号菌とも相違することがわかつた. さらに詳細に菌学的諸性質を調べた結果B3号およびB4号菌はB1号菌と栄養要求性を異にする変種であることを認めた. しかしB4号菌ではカタラーゼ反応が陽性で真性桿状乳酸菌としてはきわめて異例である. B4号菌を真性乳酸菌とすることについては真性乳酸菌はカタラーゼ反応陰性であると定義されており, この点に問題があるがそれ以外の分類学上の諸性質は全部真性乳酸菌の範囲に入るのでいちおう真性乳酸菌とすることとした. 最近ShimwellもCarrによつてサイダーよりカタラーゼ反応陽性菌が発見されたことを報じ, この領域における最もめざましいできごとであるといつている.