大学新入生への携帯電話を活用した朝食支援プログラムの実施と今後の実践に向けた一考察

【目的】大学新入生に携帯電話を活用した朝食支援プログラムを実施し,効果を評価するとともに,より効果的な実践を行うための考察を行う。 【方法】学部新入生全員(209名)が受講する情報の授業において,学生の携帯電話所持や料金プランを把握した。その上で,(1)受講生の一部にメールを毎週1回のペースで計8回配信する,(2)誰に送信しているかは公開しない,(3)受信者は内容を人に教えない,(4)8週後にメール配信した学生と残りの学生の行動を比較する,という方法で「模擬社会実験」を行うことを学生に伝えた。メール(朝食支援のURLへのアクセスを促す内容)を配信した学生を介入群(104名),残りの学生を対照群...

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Veröffentlicht in:栄養学雑誌 2013, Vol.71(3), pp.120-129
Hauptverfasser: 山口, 光枝, 高木, 絢加, 森井, 沙衣子, 北山, 大輔, 角谷, 和俊, 永井, 成美
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:【目的】大学新入生に携帯電話を活用した朝食支援プログラムを実施し,効果を評価するとともに,より効果的な実践を行うための考察を行う。 【方法】学部新入生全員(209名)が受講する情報の授業において,学生の携帯電話所持や料金プランを把握した。その上で,(1)受講生の一部にメールを毎週1回のペースで計8回配信する,(2)誰に送信しているかは公開しない,(3)受信者は内容を人に教えない,(4)8週後にメール配信した学生と残りの学生の行動を比較する,という方法で「模擬社会実験」を行うことを学生に伝えた。メール(朝食支援のURLへのアクセスを促す内容)を配信した学生を介入群(104名),残りの学生を対照群(105名)として,2回の質問紙調査やウェブへのアクセス状況から介入効果を評価した。 【結果】1)アクセス人数の割合は初回が最も高く,次第に減少した。第5回からの追加メール配信開始以降に増加に転じたが再び減少し,最終回に増えるという変化を示した。2)ウェブコンテンツではレシピへの関心が高く,積極的閲覧者(High responder: HR)では介入後に料理の好きな者が有意に増加した。3)第2回調査では,介入群,対照群ともに変容ステージ維持期の者が減少し朝食欠食者が増加したが,これらの変化は対照群でのみ有意であった。 【結論】朝食支援プログラムは,介入群の朝食摂取行動を改善させなかったが,悪化を緩和する可能性が示唆された。より有効な支援とするためには,調理と喫食に時間がかからず,経済性や保存性を考慮した朝食レシピの充実,インタラクティブなコミュニケーションツールの導入,セグメント化した対象のニーズに合った情報提供が望まれる。
ISSN:0021-5147
1883-7921
DOI:10.5264/eiyogakuzashi.71.120