ヘッドダウンによるベッドレスト試験が青年男子の腸内環境および菌叢に及ぼす影響

宇宙飛行における宇宙での長期滞在は, 地上における生活とは異なった不安や不眠, 憂うつ感や緊張感といった精神的ストレスと, 微小重力による生理的な変化による身体の変調といった肉体的ストレスの多い環境にさらされる1). このような宇宙飛行における微小重力環境下での身体に生じる心循環器系の機能低下, 骨量減少, 筋肉萎縮といった状態をシュミレーションする方法として, ヘッドダウンによるベッドレスト試験が有効である事が報告されている2). ベッドレスト試験による不動状態の負荷が, (1)骨量減少(不動性骨量減少), (2)栄養代謝能の低下(低栄養化), (3)脂質および糖代謝の異常, (4)動脈硬化症の発症, (5)循環動態の扁位, (6)筋肉量の減少, (7)内分泌系の異常, (8)液性および細胞性免疫能の異常等様々な変化を惹起する事が報告3)され, 過去にもこうした方法を用いて栄養代謝試験4), 自律神経系および精神心理に関する研究5), 骨代謝に関する研究6), 筋肉および姿勢制御に関する研究7)等が行われてきた. また, 宇宙飛行士は微小重力状態において骨や筋肉の萎縮を防ぐ目的で運動負荷を行うが, こうした適度の運動が免疫状態を活性化するといった報告もある8).