学生による実習授業評価の試み

大学審議会はその答申である「21世紀の大学像と今後の改革方策について」の中で, 教育の質の向上のため, 自己点検, 評価や学生による授業評価の実施など様々な機会を通じて, 継続的に大学の組織的な教育活動に対する評価および個々の教員の教育活動に対する評価の両面から評価を行うことが重要である1)としている. 近年では, 高等教育における授業評価の重要な側面として学生による評価の実施が浸透しつつある2). 授業の質を高めるための具体的な取り組みとして, 平成9年度では272大学が学生による授業評価を実施している3). しかし, その一方で, 教育活動の評価については, 教育の成果が対象となる学生の資...

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Veröffentlicht in:栄養学雑誌 2002, Vol.60 (6), p.277-286
Hauptverfasser: 中谷弥栄子, 西川浩昭, 手嶋登志子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:大学審議会はその答申である「21世紀の大学像と今後の改革方策について」の中で, 教育の質の向上のため, 自己点検, 評価や学生による授業評価の実施など様々な機会を通じて, 継続的に大学の組織的な教育活動に対する評価および個々の教員の教育活動に対する評価の両面から評価を行うことが重要である1)としている. 近年では, 高等教育における授業評価の重要な側面として学生による評価の実施が浸透しつつある2). 授業の質を高めるための具体的な取り組みとして, 平成9年度では272大学が学生による授業評価を実施している3). しかし, その一方で, 教育活動の評価については, 教育の成果が対象となる学生の資質能力に負うところがある4)ことなどから, 研究活動の評価に比して難しい点があると考えられている5). アメリカでは学習者が行う教師に対する評価は1970年代以降急速に普及し, 多くの大学で正式に認められ実質的な効力を持つ評価となっている6~12). わが国では, 医学教育において教育目標の明確化とともに評価機能の重要性とその導入が1978年にすでに提言されている13). 医学の領域では卒前教育において授業内容を改善していく際, 教育担当者の経験と自己反省とともに, 学生自身の率直な感想や意見を的確に収集し, その結果を参考とすることは, 教育学の原理からみても, 重要かつ不可欠であると指摘され14~16), 講義の改善をめざし, 学生側からみた講義評価のための質問項目やフォーマットを紹介, 提案している文献17~19)やそれらを実際に適用した事例報告16, 20~23)がみられる. また, 看護領域でも学生による授業評価に関する研究が行われてきている24~26). その中にあって, 栄養士卒前教育の分野での報告事例はまだ数少ない現状にある. 授業をよりよく展開していくために学生の反応を的確に把握することは不可欠であるという観点から, 著者らは平成10年度より栄養指導実習IIの内容および学生自身の実習への取り組みについて学生による実習評価を取り入れてきている27). 本報では, 今後の栄養指導実習プログラムに活用することを目的とし, 過去2年間の評価を用い, 学生の実習への取り組みと実習形式について総括的評価を試みるとともに, 複合的な要素をもつとされる総合評価に影響を及ぼす因子の特定を試みた.
ISSN:0021-5147