難発酵性食物繊維である低分子化アルギン酸Naと発酵性食物繊維である水溶性コーンファイバーを組み合せた飲料の腸内フローラに及ぼす効果の検討
難発酵性食物繊維である低分子化アルギン酸Na(ナトリウム)は, 大腸内で腸内細菌に資化されず, その保水力により糞便体積を増加させ消化管に物理的作用を, また, 易発酵性食物繊維である水溶性コーンファイバーは, 腸内細菌により酢酸, プロピオン酸, 酪酸といった短鎖脂肪酸(Short-Chain Fatty Acids;SCFA)に変換され, 消化管に化学的作用を与え蠕動運動を促進することが期待される. そこで, 我々は両者を組み合せた試験飲料(Dietary Fiber飲料;DF飲料)を試作し, ローマ基準II1)の機能性便秘の診断基準に準拠し選別された機能性便秘者を含む機能性便秘傾向にある...
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Veröffentlicht in: | 栄養学雑誌 2002-06, Vol.60 (3), p.137-143 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 難発酵性食物繊維である低分子化アルギン酸Na(ナトリウム)は, 大腸内で腸内細菌に資化されず, その保水力により糞便体積を増加させ消化管に物理的作用を, また, 易発酵性食物繊維である水溶性コーンファイバーは, 腸内細菌により酢酸, プロピオン酸, 酪酸といった短鎖脂肪酸(Short-Chain Fatty Acids;SCFA)に変換され, 消化管に化学的作用を与え蠕動運動を促進することが期待される. そこで, 我々は両者を組み合せた試験飲料(Dietary Fiber飲料;DF飲料)を試作し, ローマ基準II1)の機能性便秘の診断基準に準拠し選別された機能性便秘者を含む機能性便秘傾向にある者の排便状態に及ぼす効果を検討した2). 結果, DF飲料の1日1本, 14日間の摂取による排便日数の増加, 軟便の出現頻度の低下を確認し2), DF飲料の摂取による消化管運動亢進の可能性が示唆された. 便通に対する作用の他に, 食物繊維は腸内フローラヘ影響を与えることが知られている. しかし, ヒト試験において, 低分子化アルギン酸Naの1日4g, 14日間の摂取, あるいは水溶性コーンファイバーの1日10g, 10日間の摂取は, 腸内フローラに影響を与えないことが報告されている3, 4). DF飲料に含有される低分子化アルギン酸Na, および水溶性コーンファイバーの量は, それぞれ3g以下であり, それぞれ単独摂取した場合には腸内フローラに影響を及ぼさないものと考えられる. ただし, 消化管運動が亢進された場合には, 主な発酵部位である上行結腸から横行結腸にかけての大腸内環境が腸内細菌の増殖に適した状態となり, 腸内フローラに影響を与える可能性がある5~7). 本DF飲料摂取においても消化管運動が亢進する可能性が認められたので2), 前述のDF飲料の摂取試験において許可の得られた被験者に採便を依頼し, DF飲料の腸内フローラに及ぼす効果を便物件への影響も含め検討した. |
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ISSN: | 0021-5147 |