FPD特集号の発行にあたって

昨年2004年, 本学会誌としては初めての企画でCAD最前線特集号(Vol. 21, No. 1)が発行され, 盛り沢山の構成と時宜を得て大好評でした. この成功に倣い, 今年はFPD(フラットパネルX線ディテクタ)特集号を発行することとなりました. 放射線診療のディジタル化, 延いては医療のIT化を推進する原動力として, ディジタルX線撮像システムは極めて重要な画像取得機器です. 中でもFPDシステムは, 先行していた輝尽性蛍光体によるコンピューテッドラジオグラフィシステム(CRシステム)を席捲するような勢いで臨床導入が進んでいます. 今までは, たとえばFPDは患者スループットに優れ, C...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:医用画像情報学会雑誌 2005/01/01, Vol.22(1), pp.2-2
1. Verfasser: 真田, 茂
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:昨年2004年, 本学会誌としては初めての企画でCAD最前線特集号(Vol. 21, No. 1)が発行され, 盛り沢山の構成と時宜を得て大好評でした. この成功に倣い, 今年はFPD(フラットパネルX線ディテクタ)特集号を発行することとなりました. 放射線診療のディジタル化, 延いては医療のIT化を推進する原動力として, ディジタルX線撮像システムは極めて重要な画像取得機器です. 中でもFPDシステムは, 先行していた輝尽性蛍光体によるコンピューテッドラジオグラフィシステム(CRシステム)を席捲するような勢いで臨床導入が進んでいます. 今までは, たとえばFPDは患者スループットに優れ, CRは可搬性, 適応性に優れる, というように両者の得失が論じられていました. しかし, それぞれ技術改良が為され, 互いに大きな進化を遂げています. また, FPDシステムとCRシステムの画質, 被曝線量などに関する基本的な特徴については既に多くの研究報告があり, それぞれの, あるいは相対的な物理評価を行う段階はほぼ終わっています. 今は, FPDについては新たな臨床応用技術に関する開発研究, さらには臨床試用が盛んに行われている段階です. 「特別講演資料」の鈴木英文氏((株)島津製作所)の原稿は, 2004年11月の第140回本学会大会において講演いただいた内容です. 「寄稿」および「企業技術解説」では, 特に先進的なFPD技術の臨床応用について, この「FPD技術が拓く新たなX線画像検査」という統一テーマで解説して頂きました, 「寄稿」の早川吉彦氏(東京歯科大学)のTACTによるトモシンセシスについては, FPDの特徴を見事に活かした臨床応用方法です. 歯科口腔外科領域では早くからTACTについて取り組まれていました. 今では, 乳房画像をはじめとするあらゆる部位についてもトモシンセシスは脚光を浴びています. 他にエネルギーサブトラクション, 動画像解析なども, FPDの優れた時間分解能(早いframe rate)により, 簡便なスクリーニング検査として臨床応用が可能であることがFPDの開発当初から期待されていました. また, FPDにとっては死角とも言える可搬性については, ポータブルFPDシステムという形でブレークスルーを遂げています. これは, 北米放射線医学会RSNA2003で発表されて大好評でした. RSNA2004(2004年11月28日~12月3日)では, さらにコンパクトな施設外可搬型のシステムや"Mobile Access Station System"と称するポータブルFPDシステムと画像サーバーとの連携システム(Canon)について新たに紹介されています. 本特集号ではFPDについて, その現状よりも将来に焦点を合わせて企画させて頂きました. しかし, そうこうする間にもここで取り上げられたトピックスの多くは, RSNA2004の研究発表や機器展示などをみても, 既に臨床応用に拍車がかかっています. FPDシステムは, まだまだ新たな画像医学を創出するような大きな展開が期待されます. そして今後とも読者の皆様から, 興味深い研究テーマとして注目され続けることと思います. 最後に, 本特集号に最新情報を寄稿して頂いた先生方, 研究論文を投稿して頂いた先生方, 中森伸行編集委員長をはじめとする本企画にご支援いただいた当学会の関係各位に篤く御礼申し上げます.
ISSN:0910-1543
1880-4977
DOI:10.11318/mii.22.2