胸部X線画像の比較読影における3Dディスプレイの応用

【目的】胸部X線画像における経時的な変化を視覚的に強調するため, めがねなし3Dディスプレイの応用を試みた. 現在画像と過去画像をそれぞれ右または左画像として表示して, 現在画像に新たに発生した異常陰影の認識が視野闘争によって容易になるかどうかを明らかにする. 【方法】ディスプレイの輝度および照度は最適と思われる観察条件に設定された. キヤノン社製めがねなし3Dディスプレイを用い, 胸部X線画像を表示対象画像とした. 肺野ファントム画像を±3度の角度をつけて撮影を行った. 次に, 腫瘤状陰影を模擬した円形病巣ファントムを作成して, 左右のファントム画像のいずれかに画像合成し, その認識度を測定...

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Veröffentlicht in:医用画像情報学会雑誌 2002, Vol.19 (3), p.167-167
Hauptverfasser: 萬代奈都子, 真田茂, 石井聡, 井上仁司
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【目的】胸部X線画像における経時的な変化を視覚的に強調するため, めがねなし3Dディスプレイの応用を試みた. 現在画像と過去画像をそれぞれ右または左画像として表示して, 現在画像に新たに発生した異常陰影の認識が視野闘争によって容易になるかどうかを明らかにする. 【方法】ディスプレイの輝度および照度は最適と思われる観察条件に設定された. キヤノン社製めがねなし3Dディスプレイを用い, 胸部X線画像を表示対象画像とした. 肺野ファントム画像を±3度の角度をつけて撮影を行った. 次に, 腫瘤状陰影を模擬した円形病巣ファントムを作成して, 左右のファントム画像のいずれかに画像合成し, その認識度を測定した. 病巣ファントムは, 大きさとコントラストを段階的に変化させた. また, 左右の視野闘争を起こして病巣を認識しやすくするような色の組み合わせについても検討した. 【結果】通常の観察システム(フィルム, CRT)で見落とされやすかった病巣位置において, 3Dディスプレイを用いて観察することにより病巣の認識度が向上する傾向を示した. 【考察とまとめ】現在画像と過去画像に経時的な変化が見られない場合, 容易に立体視(融像)することができる. しかし, 経時的な変化がある場合, その変化部分は視野闘争によって違和感を覚えて認識し易くなる. 観察の疲労度などを考慮すると, 直ちに臨床応用につながるものではないが, 時間的差分法などの画像処理を用いることなく経時変化を視認できる点と立体視ができる点で興味深い.
ISSN:0910-1543