腹部間膜の画像解剖と診断のポイント

腹部間膜(靱帯)に関連する様々な疾患を正確に診断するには, 画像解剖学と発生学の知識が必須となる. 腹部間膜は小腸結腸間膜や横行結腸間膜, S状結腸間膜のように2枚の腹膜が合わさって形成されるものを真の間膜としてみなすが, 一方では上行結腸間膜や下行結腸間膜のように1枚の壁側腹膜が覆って形成されるものも間膜として呼称されている. 腹部間膜が臨床的に重要視されるのは, 腹膜腔の液体を局在化させる役割に加え, 炎症性病変や癌などの重要な進展経路になりうるからである. また, 腹部間膜に異常をきたす疾患のなかには, 急性腹症として発症するものが多く存在する点もその理由の1つとして挙げられる. 腹部間...

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1. Verfasser: 松本俊郎
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:腹部間膜(靱帯)に関連する様々な疾患を正確に診断するには, 画像解剖学と発生学の知識が必須となる. 腹部間膜は小腸結腸間膜や横行結腸間膜, S状結腸間膜のように2枚の腹膜が合わさって形成されるものを真の間膜としてみなすが, 一方では上行結腸間膜や下行結腸間膜のように1枚の壁側腹膜が覆って形成されるものも間膜として呼称されている. 腹部間膜が臨床的に重要視されるのは, 腹膜腔の液体を局在化させる役割に加え, 炎症性病変や癌などの重要な進展経路になりうるからである. また, 腹部間膜に異常をきたす疾患のなかには, 急性腹症として発症するものが多く存在する点もその理由の1つとして挙げられる. 腹部間膜の画像診断においては, 間膜を形成する脂肪と脈管, 特に各間膜の指標となる動静脈に注目して読影することが肝要である. 最近では, 多くの施設でmultidetector-row CT(MDCT)が導入されているものと推測するが, 造影MDCTのthin-slice(1-mm sliceなど)の多断面再構成(MPR)画像は, あらゆる角度から間膜内の脂肪や脈管の軽微な異常を捉えることができ, 腹部間膜の精査としての重要なmodalityに位置づけられている. 本教育講演では, 腹部間膜のCT画像解剖を最初に概説し, ついで種々の腹部間膜に関連する疾患, とりわけ腹部救急の分野において重要視される閉塞性腸疾患(絞扼性イレウス)に重点を置き, その診断のポイントについて解説する. ※腹部間膜関連疾患 1)Obstructed intestinal diseases ・Internal hernia ・Volvulus ・Peritoneal band 2)Others ・Pancreatitis/Mesenteric panniculitis ・Pancreatic cancer spread ・Mesenteric edema (SMA/SMV thrombus)
ISSN:0914-8663