3.Prepancreatic postduodenal portal veinの一例
74歳男性, 結腸癌肝転移のラジオ波焼灼術前に施行された造影CTにて門脈の走行異常を指摘された. 門脈本幹は通常より低位のsplenoportal junctionから膵頭部腹側を右へ横走した後でL字型に屈曲し上行, 膵頭部と十二指腸球部の間を経由して肝門へ至っており, prepancreatic postduodenal portal veinの状態であった. 胃結腸幹はL字型の屈曲部分に流入しており, 左胃静脈は門脈本幹を介さず肝左葉外側区へ直接還流していた. 門脈の走行異常は比較的稀で, そのほとんどはpreduodenal portal veinである. Preduodenal por...
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Veröffentlicht in: | 断層映像研究会雑誌 2006, Vol.33 (2), p.73-74 |
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Hauptverfasser: | , , , , , , , , , , , , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 74歳男性, 結腸癌肝転移のラジオ波焼灼術前に施行された造影CTにて門脈の走行異常を指摘された. 門脈本幹は通常より低位のsplenoportal junctionから膵頭部腹側を右へ横走した後でL字型に屈曲し上行, 膵頭部と十二指腸球部の間を経由して肝門へ至っており, prepancreatic postduodenal portal veinの状態であった. 胃結腸幹はL字型の屈曲部分に流入しており, 左胃静脈は門脈本幹を介さず肝左葉外側区へ直接還流していた. 門脈の走行異常は比較的稀で, そのほとんどはpreduodenal portal veinである. Preduodenal portal veinの成因は, 左右の卵黄嚢静脈を架橋する複数の静脈が退縮する様式の異常と考えられており, しばしば中腸回転異常~多脾症を合併する. 一方, prepancreatic postduodenal portal veinは非常に稀で, 1972年にBrookらが報告して以来8例を数えるのみである. 合併奇形の報告はない. 本症例の如くL字型の屈曲を示すものは4例知られている. 本症例はマルチスライスCTによりボリュームデータが得られたため, 門脈系の詳細な解剖が検討可能であった. 胃結腸幹より尾側にsplenoportal junctionが位置していること, 左胃静脈が門脈本幹へ流入していないこと, の2点から, 脾静脈と左胃静脈が門脈本幹へ合流する部分が何らかの原因で退縮したことが本症例における門脈走行異常の成因と考えられた. |
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ISSN: | 0914-8663 |