FDG-PETによる癌診断の現状

FDG-PETを癌診断に応用する利点は, 1)一回の検査でほぼ全身を検索できること, および2)癌の糖代謝を評価できることである. また, PET-CTによりFDG集積とCTとのfusion画像が可能となりFDG集積部位の同定が容易となった. また, PETの診断情報にCTの診断情報が加わることで, 診断能力が飛躍的に向上した. FDGの癌細胞への集積度には, glucose-transporter, hexokinase, およびglucose-6-phosphataseの量が関与する. 特にglucose-transporterは重要な因子で悪性度が高い癌ほど増加するため, 悪性度の高い癌...

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Veröffentlicht in:断層映像研究会雑誌 2006, Vol.33 (2), p.70-70
1. Verfasser: 東光太郎
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:FDG-PETを癌診断に応用する利点は, 1)一回の検査でほぼ全身を検索できること, および2)癌の糖代謝を評価できることである. また, PET-CTによりFDG集積とCTとのfusion画像が可能となりFDG集積部位の同定が容易となった. また, PETの診断情報にCTの診断情報が加わることで, 診断能力が飛躍的に向上した. FDGの癌細胞への集積度には, glucose-transporter, hexokinase, およびglucose-6-phosphataseの量が関与する. 特にglucose-transporterは重要な因子で悪性度が高い癌ほど増加するため, 悪性度の高い癌にはFDGは強く集積する. しかし, 悪性度の低い癌(前立腺癌, 高分化型肺腺癌等), glucose-6-phosphataseの豊富な癌(高分化型肝細胞癌, 腎細胞癌等), 体積の小さな癌, および細胞密度の低い癌(胃の印環細胞癌, 粘液産生癌等)はFDGの集積が低く偽陰性となることがある. 膀胱癌や腎盂癌など尿路系の癌もFDGの尿中排泄のため検出が極めて困難である. またFDGは炎症, 活動性肉芽腫, 一部の良性腫瘍にも強く集積し, FDG-PETによる良, 悪性の鑑別はdelayed scanを用いても困難なことがある. 本シンポジウムでは, 肺癌を例にFDG-PETによる癌診断の現状とその問題点について報告する. FDG-PETの肺癌への臨床応用は, 1)病期分類, 2)再発診断, 3)肺腺癌の悪性度診断, 4)放射線療法の照射野の決定, 4)治療効果判定, および5)予後予測等で有用であることが報告されている. しかし, FDG-PETの肺癌への応用についてもいくつかの問題点が指摘されている. 特に, リンパ節転移の診断の際に偽陽性が多いことが報告されている. このように, FDG-PETはPET-CTにより診断能力が向上したにもかかわらず, いくつかの課題が未解決のまま残されている.
ISSN:0914-8663