48.肺炎を機とした急性増悪で救命し得なかった閉塞性細気管支炎の女児例

【症例】新生児期に重症の胎便吸引症候群(MASと略す. )で11日間の人工呼吸管理を要した. その後肺雑音は続いたが全身状態良く, 時に肺炎, 喘息様気管支炎の診断で入院治療を受けていた. 平成8年9月(児が9歳)になり労作時呼吸困難出現し当院管理となる. 臨床経過, 胸部CT, 肺血流シンチなど各所見から閉塞性細気管支炎(BOと略す. )と診断した. そして各機関と連携し包括的治療を進めた. しかし肺炎を機に急性増悪を繰り返し, 肺機能は徐々に低下, 平成13年に内科的治療の限界と判断, 肺移植申請を行い待機中となる. 【現病歴】平成16年7月中旬頃から痰のきれにくさと表現のできない疲労感を...

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Veröffentlicht in:日本小児呼吸器疾患学会雑誌 2006, Vol.17 (1), p.104-104
Hauptverfasser: 港 敏則, 望月 航, 大平文人, 奥野美佐子, 上田雅章, 田口和裕, 吉田真策, 真野喜美子, 安水良知
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【症例】新生児期に重症の胎便吸引症候群(MASと略す. )で11日間の人工呼吸管理を要した. その後肺雑音は続いたが全身状態良く, 時に肺炎, 喘息様気管支炎の診断で入院治療を受けていた. 平成8年9月(児が9歳)になり労作時呼吸困難出現し当院管理となる. 臨床経過, 胸部CT, 肺血流シンチなど各所見から閉塞性細気管支炎(BOと略す. )と診断した. そして各機関と連携し包括的治療を進めた. しかし肺炎を機に急性増悪を繰り返し, 肺機能は徐々に低下, 平成13年に内科的治療の限界と判断, 肺移植申請を行い待機中となる. 【現病歴】平成16年7月中旬頃から痰のきれにくさと表現のできない疲労感を訴え始めた. 胸部XPで肺炎像を認め, 痰培養で緑膿菌, カンジダを検出した. 肺炎による急性増悪に対し定型的治療を行ったがCO2の貯留が進んだ. Bi-PAPを行うも効果なく, 自力での排痰も困難となり, 家族と話し合い人工呼吸管理, 気管切開管理による症状の改善を目指した. しかし改善得られず7月29日永眠となる. 家族の同意で実施された病理解剖では著明な肺気腫, うっ血肺, 肝を認め, 肺の一部には緑色の粘液栓がみられた. 一方, 細気管支レベルの著明な器質化像は認めず, 病理診断は肺気腫であった. 【考察】臨床経過と画像検査よりBOと臨床診断した. 病態として新生児期の重篤なMAS及びその後の繰り返す呼吸器感染症で, 肺気腫, 気道狭窄が進み, さらに呼吸筋の疲労による痰の喀出困難から呼吸不全, 右心不全が進行し, 死の転帰に至ったと考えた. 病理解剖でBOに特徴的な病理所見が得られなかった理由として, 病理切片採取場所の問題, また大量のステロイド治療が影響したものと考えたが, 他の病態の存在も否定はできない. 閉塞性肺疾患は, 小児では稀で, その病因, 病態も様々で本症例のように進行性に肺機能の低下が進む症例も存在し, 疾患の整理とその病態の解明が待たれる.
ISSN:0918-3876