3.呼吸器感染が気道過敏性に及ぼす影響とその原因
最近の報告によれば, 気道過敏性にはおそらく一過性, 持続性と中間型の3種類が存在すると推測される. 一過性の気道過敏性とは, 気道感染症罹患後や吸入性の刺激物質により, 数日から数週間程度の一過性の気道過敏性がみられる状態で, 喘息の患者のみならず健常者でも獲得する可能性がある. 持続性の気道過敏性とは, 主に喘息で認められる, いわゆる気道過敏性であり, 数年以上, または非可逆的な気道の過敏状態がみられることをさす. 中間型は, 数ヶ月から数年単位, 中には10年以上にわたり持続するもので, ウイルス感染により引き起こされるRAD(reactive airway disease;反応性気...
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Veröffentlicht in: | 日本小児呼吸器疾患学会雑誌 2006, Vol.17 (1), p.54-54 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 最近の報告によれば, 気道過敏性にはおそらく一過性, 持続性と中間型の3種類が存在すると推測される. 一過性の気道過敏性とは, 気道感染症罹患後や吸入性の刺激物質により, 数日から数週間程度の一過性の気道過敏性がみられる状態で, 喘息の患者のみならず健常者でも獲得する可能性がある. 持続性の気道過敏性とは, 主に喘息で認められる, いわゆる気道過敏性であり, 数年以上, または非可逆的な気道の過敏状態がみられることをさす. 中間型は, 数ヶ月から数年単位, 中には10年以上にわたり持続するもので, ウイルス感染により引き起こされるRAD(reactive airway disease;反応性気道疾患)が典型である. 近年になり, ウイルスによる気道感染は, 急性の気道障害だけでなく, 小児期, 特に乳幼児期での喘息発症の原因になるとの報告が相次いでいる. なかでも, RSウイルスについては精力的に研究が行われ, RSウイルスに乳幼児期に感染することが, その後の喘鳴, 喘息発症のリスク増大に関与するという多数の報告がある. 喘息が悪化する原因のひとつとして, ウイルスによる気道感染は重要である. ウイルス感染がまず気道上皮に感染し, この傷害により, 各種炎症細胞が活性化され, ヒスタミン, ロイコトリエンなどの炎症性のメディエーターやサイトカインが気道粘膜内に放出され, 結果として, 気道上皮の損傷, 気道粘膜下の血管の透過性亢進, 気道粘膜の浮腫, 神経系の緊張亢進が生じる. これらの一連の反応は, 気道過敏性を亢進させる機序となりえると推測される. ウイルス感染時の気道粘膜組織では, 活性化した好酸球, 好中球, リンパ球などの細胞浸潤がみられるが, これらの細胞から放出される活性酸素種, 活性酸素や各種サイトカイン, ケモカインは, 喘息の急性増悪に大きく関与している. しかしながら, ウイルス感染は, 喘息発作の急性, 一過性の原因となるだけではない. 乳幼児期のRSウイルス感染後, 呼吸器症状や気道過敏性が長期間にわたり持続することからも, 固有の機序による喘息発症, また気道過敏性への関与も考えられている. また, アトピーではTh2に傾いている状態だが, 一般的に感染症はTh1を誘導し, 衛生仮説がある. しかし, RSウィルス, ライノウィルス, アデノウィルスなどはTh2を誘導しアレルギーが発症しやすくなる可能性があり, ウィルス感染によりアトピーになる可能性も考えられる. |
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ISSN: | 0918-3876 |