37.アデノウイルス3型によると思われる重症肺炎の1例

アデノウイルス感染症は, 咽頭炎, 咽頭結膜熱, 肺炎など多彩な臨床像を呈し, 炎症所見が強いことも多い. また, 近年わが国では, アデノウイルス7型(Ad7)による重症肺炎の報告が増えている. 今回我々は, アデノウイルス3型と思われる重症肺炎を経験したので報告する. 症例は, 低出生体重児, 気管切開施行し, 胃痩造設で栄養管理中の慢性肺疾患を有する3歳女児. 発熱, 喘鳴, 呼吸困難をきたし, 経過中にCRP高値およびGOT, GPT, LDH, β2-MG, フェリチンの上昇を認め, 治療としては, 人工換気を必要とし, ステロイドパルス療法およびγ-グロブリン大量療法が効果的であっ...

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Veröffentlicht in:日本小児呼吸器疾患学会雑誌 2004, Vol.15 (1), p.57-57
Hauptverfasser: 大森啓充, 梶梅輝之, 上田典子, 菅原朋子, 日浦美和, 伊予田邦昭
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:アデノウイルス感染症は, 咽頭炎, 咽頭結膜熱, 肺炎など多彩な臨床像を呈し, 炎症所見が強いことも多い. また, 近年わが国では, アデノウイルス7型(Ad7)による重症肺炎の報告が増えている. 今回我々は, アデノウイルス3型と思われる重症肺炎を経験したので報告する. 症例は, 低出生体重児, 気管切開施行し, 胃痩造設で栄養管理中の慢性肺疾患を有する3歳女児. 発熱, 喘鳴, 呼吸困難をきたし, 経過中にCRP高値およびGOT, GPT, LDH, β2-MG, フェリチンの上昇を認め, 治療としては, 人工換気を必要とし, ステロイドパルス療法およびγ-グロブリン大量療法が効果的であった. アデノウイルスのなかでは, Ad3, Ad7, Ad21が重症肺炎の原因となることが知られているが, アデノウイルス3型(Ad3)による重症肺炎の報告は少ない. 今回, ウイルス分離はできなかったがAd3ウイルス抗体価(NT, 中和抗体)がペア血清で4倍以下から32倍に上昇しており, 今回の重症肺炎の原因としてAd3が考えられた. また, LDH, フェリチン, β2-MGが上昇し, 高サイトカイン血症が疑われる症例については, ステロイドパルス療法が有効であると思われた. 予防のためには, ウイルス分離, 酵素抗体迅速診断法などで流行を早期に把握し, 特に基礎疾患のある症例では, 流行期には病棟での逆隔離なども考慮する必要があると思われた.
ISSN:0918-3876