自発呼吸が気管内挿管下の気管壁におよぼす影響についての検討

従来の呼吸生理学の上では気管壁は吸気時に拡張するとされる. ところが実際の胸腔内中枢気道狭窄性疾患の人工呼吸管理では吸気性呼吸困難を呈する症例がみられる. われわれは気管壁の動きが気管内外差圧に支配されることに着目し, 自発呼吸下の気管内圧, 気管周囲圧および胸腔内圧を気管内挿管されたイヌにおいて同時測定した. 結果として, 気管壁は呼気時に拡張方向, 吸気時に狭窄方向の力を受けることが示された. また気管周囲圧は胸腔内圧とほぼ平行に動き, 気管内圧は呼吸流量と同じ時相で変動した. 今回の結果は古典的呼吸生理学から理論的に考えられる気管内外差圧の動きとは逆であった. また, 今回の現象は, 最...

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Veröffentlicht in:日本小児呼吸器疾患学会雑誌 1991-06, Vol.2 (1), p.16-21
Hauptverfasser: 長田厚, 片山正夫, 藤田道郎, 宮坂勝之
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:従来の呼吸生理学の上では気管壁は吸気時に拡張するとされる. ところが実際の胸腔内中枢気道狭窄性疾患の人工呼吸管理では吸気性呼吸困難を呈する症例がみられる. われわれは気管壁の動きが気管内外差圧に支配されることに着目し, 自発呼吸下の気管内圧, 気管周囲圧および胸腔内圧を気管内挿管されたイヌにおいて同時測定した. 結果として, 気管壁は呼気時に拡張方向, 吸気時に狭窄方向の力を受けることが示された. また気管周囲圧は胸腔内圧とほぼ平行に動き, 気管内圧は呼吸流量と同じ時相で変動した. 今回の結果は古典的呼吸生理学から理論的に考えられる気管内外差圧の動きとは逆であった. また, 今回の現象は, 最大吸気流量が中枢気道性疾患に於て特異的に低下するとの以前のわれわれの臨床報告を裏付けるものである.
ISSN:0918-3876