気管腕頭動脈瘻発症後,緊急外科的治療により救命され,長期経過を観察し得たDuchenne型筋ジストロフィーと考えられた1例

症例は死亡時26歳,男性.Duchenne型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy:DMD)にて長期入院中であった.18歳時に呼吸不全の悪化により,気管切開術を施行し,人工呼吸器装着となった.気管切開術1年9ヶ月後(20歳時),気管から突然の大量出血をみとめ,ショック状態となった.気管腕頭動脈瘻(tracheoinnominate arterial fistula:TIF)を疑い,気管カニューレカフの過膨張を行ったところ,出血はみられなくなり,バイタルサインは安定した.高次医療機関にて気管欠損孔の閉鎖,人工血管バイパス術を行い,救命された.術後4年9ヶ月(25...

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Veröffentlicht in:神経治療学 2023, Vol.40(5), pp.739-742
Hauptverfasser: 石﨑, 雅俊, 西田, 泰斗, 前田, 寧, 小林, 広典, 上山, 秀嗣
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は死亡時26歳,男性.Duchenne型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy:DMD)にて長期入院中であった.18歳時に呼吸不全の悪化により,気管切開術を施行し,人工呼吸器装着となった.気管切開術1年9ヶ月後(20歳時),気管から突然の大量出血をみとめ,ショック状態となった.気管腕頭動脈瘻(tracheoinnominate arterial fistula:TIF)を疑い,気管カニューレカフの過膨張を行ったところ,出血はみられなくなり,バイタルサインは安定した.高次医療機関にて気管欠損孔の閉鎖,人工血管バイパス術を行い,救命された.術後4年9ヶ月(25歳時),前胸部術創の拡大,人工血管が肉眼的に観察され,同部位より呼吸器の送気にあわせてエアリークが確認された.造影CTにて気管皮膚瘻の合併と診断した.再手術の適応とはならず,保存的加療を行なった.原疾患に伴う心不全にて術後6年2ヶ月(26歳時)に死亡した.TIFを発症したDMDの救命例はまれであり,外科的治療後に長期経過を観察し得た貴重な症例と考えられた.
ISSN:0916-8443
2189-7824
DOI:10.15082/jsnt.40.5_739