自己免疫性脳炎の歴史と展望

「はじめに」 急性脳炎は, 脳の炎症により意識障害, 痙攣, 高次脳機能障害などが急性に出現する病態を指し, 急性脳症は, 脳炎と同様の症状が起こるが, 炎症のない浮腫を主体とした病態によるものとされている. 急性脳炎にはウィルスなどの病原体の直接的な脳実質内侵達が確認できる感染性脳炎と, 病原体の中枢神経系への侵達はなく, 主に免疫応答が中枢神経系に影響して発症する免疫介在性脳炎がある. 203例の脳炎症例を集積した英国の疫学調査は, 86例(42%)が感染性脳炎で, 75例(37%)が病因不明で, 42例(21%)が免疫介在性であったと報告している. 免疫介在性脳炎では自己抗体や細胞傷害性...

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Veröffentlicht in:神経治療学 2022, Vol.39(3), pp.322-326
Hauptverfasser: 高橋, 幸利, 井田, 久仁子, 石田, 倫也, 松丸, 重人, 水谷, 聡志
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」 急性脳炎は, 脳の炎症により意識障害, 痙攣, 高次脳機能障害などが急性に出現する病態を指し, 急性脳症は, 脳炎と同様の症状が起こるが, 炎症のない浮腫を主体とした病態によるものとされている. 急性脳炎にはウィルスなどの病原体の直接的な脳実質内侵達が確認できる感染性脳炎と, 病原体の中枢神経系への侵達はなく, 主に免疫応答が中枢神経系に影響して発症する免疫介在性脳炎がある. 203例の脳炎症例を集積した英国の疫学調査は, 86例(42%)が感染性脳炎で, 75例(37%)が病因不明で, 42例(21%)が免疫介在性であったと報告している. 免疫介在性脳炎では自己抗体や細胞傷害性T細胞やサイトカインなどが関与し, 自身の中枢神経系に傷害をもたらすので, 自己免疫性脳炎とも呼ばれる. 先述の英国の調査によると, 免疫介在性脳炎の中には急性散在性脳脊髄炎(acute disseminated encephalomyelitis: ADEM)が23例(11%), 抗n-methyl-D-aspartate-type glutamate receptor抗体脳炎(抗NMDA受容体脳炎)が9例(4%)含まれている.
ISSN:0916-8443
2189-7824
DOI:10.15082/jsnt.39.3_322