2 自己免疫性脳症の臨床症候学 - 心因性にされるメカニズム

「はじめに」医師は, 患者の訴えが簡単には理解しがたいものである場合, 分野を問わずそれが心因性であるとすることで納得し, それ以上を突き詰めることはほとんど行われてこなかった. 患者の訴えが, 疼痛であれ, 麻痺であれ, どのような症状でも理解を超えるものは心因機序とされ, それは医師の側からは理解しやすい機序であり, あまり論点になっていない. 一方で, 患者の立場からみると, 自分に起こっている様々なつらい症状が心因性機序によるものとされ, 自身の環境や家族や職場の問題に起因するなどとされても, 心当たりが無ければどうしようもない. 通常, 患者は心因機序であれば自分でわかりそうなもので...

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Veröffentlicht in:神経治療学 2020-05, Vol.37 (4), p.636-639
1. Verfasser: 高嶋博
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」医師は, 患者の訴えが簡単には理解しがたいものである場合, 分野を問わずそれが心因性であるとすることで納得し, それ以上を突き詰めることはほとんど行われてこなかった. 患者の訴えが, 疼痛であれ, 麻痺であれ, どのような症状でも理解を超えるものは心因機序とされ, それは医師の側からは理解しやすい機序であり, あまり論点になっていない. 一方で, 患者の立場からみると, 自分に起こっている様々なつらい症状が心因性機序によるものとされ, 自身の環境や家族や職場の問題に起因するなどとされても, 心当たりが無ければどうしようもない. 通常, 患者は心因機序であれば自分でわかりそうなものであるが, 本人が気づかない深層心理のレベルでの抑圧という理論まで生み出されているのでやっかいである. これが本当であれば, 催眠術などで治せそうであるが, その試みはかなり昔に失敗している.
ISSN:0916-8443