認知症における髄液バイオマーカー:特発性正常圧水頭症マーカーとしての髄液中の“脳型”トランスフェリン

「はじめに」 細胞から分泌されるタンパク質の大部分は糖鎖修飾を受けている. 糖鎖修飾は細胞によって異なるので, 同じタンパク質であっても由来する細胞によって, 持っている糖鎖が異なる(糖鎖アイソフォーム). 即ち, 糖鎖アイソフォームは細胞特異的なバイオマーカーとなりうる. 我々は髄液中に糖鎖構造が異なる2種類のトランスフェリン・アイソフォームを見出した. 一方のアイソフォームは認知症のマーカーとなるが, 他方はマーカーとならなかった. この事実は, 糖鎖などの翻訳後修飾を考慮したアイソフォームのスクリーニングが, 新しい診断マーカーの発見につながることを示している. 以下に我々の髄液トランス...

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Veröffentlicht in:神経治療学 2020, Vol.37(3), pp.331-334
Hauptverfasser: 橋本, 康弘, 伊藤, 浩美, 星, 京香, 本多, たかし
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:「はじめに」 細胞から分泌されるタンパク質の大部分は糖鎖修飾を受けている. 糖鎖修飾は細胞によって異なるので, 同じタンパク質であっても由来する細胞によって, 持っている糖鎖が異なる(糖鎖アイソフォーム). 即ち, 糖鎖アイソフォームは細胞特異的なバイオマーカーとなりうる. 我々は髄液中に糖鎖構造が異なる2種類のトランスフェリン・アイソフォームを見出した. 一方のアイソフォームは認知症のマーカーとなるが, 他方はマーカーとならなかった. この事実は, 糖鎖などの翻訳後修飾を考慮したアイソフォームのスクリーニングが, 新しい診断マーカーの発見につながることを示している. 以下に我々の髄液トランスフェリン研究の詳細を詳述する. 「I. 髄液中トランスフェリンの糖鎖アイソフォーム」 髄液は, 脳周囲に存在する体液であり, 脳由来のバイオマーカーの宝庫と考えられている. 我々は, 髄液に特徴的な分子を同定する目的で, 髄液のSDS-ポリアクリルアミド電気泳動の分析を行った.
ISSN:0916-8443
2189-7824
DOI:10.15082/jsnt.37.3_331