膵頭十二指腸切除術後の膵管空腸吻合部ロストステントの閉塞が発症原因と考えられた膵膿瘍に対して経胃的ドレナージが奏功した1例

症例は89歳,男性.85歳時に膵頭部癌の診断で膵頭十二指腸切除術および門脈合併切除を施行し,病理組織学的に中分化型管状腺癌と診断された.患者の希望もあり補助化学療法は行わず外来通院中であった.手術より3年10か月無再発で経過していたが,心窩部痛を自覚したため当院を受診した.血液検査にて炎症反応の上昇,CT検査で残膵に連続する多房性の液貯留を認めた.膵管空腸吻合部に留置していたロストステントは膵管内に残存しており,その閉塞に伴い発生した膵膿瘍と診断した.膿瘍は胃後壁に密着しており超音波内視鏡下に経胃的ドレナージを施行した.ドレナージ後に炎症所見と症状は改善し,膿瘍腔は著明に縮小した.ロストステン...

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Veröffentlicht in:膵臓 2023/12/28, Vol.38(6), pp.420-427
Hauptverfasser: 中島, 隆善, 藤川, 正隆, 坂井, 良行, 南堂, 吉紀, 松木, 豪志, 一瀬, 規子, 笠井, 明大, 岡本, 亮, 生田, 真一, 仲本, 嘉彦, 相原, 司, 西島, 規浩, 川添, 智太郎, 岸, 清彦, 大﨑, 往夫, 栁, 秀憲, 山中, 若樹
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は89歳,男性.85歳時に膵頭部癌の診断で膵頭十二指腸切除術および門脈合併切除を施行し,病理組織学的に中分化型管状腺癌と診断された.患者の希望もあり補助化学療法は行わず外来通院中であった.手術より3年10か月無再発で経過していたが,心窩部痛を自覚したため当院を受診した.血液検査にて炎症反応の上昇,CT検査で残膵に連続する多房性の液貯留を認めた.膵管空腸吻合部に留置していたロストステントは膵管内に残存しており,その閉塞に伴い発生した膵膿瘍と診断した.膿瘍は胃後壁に密着しており超音波内視鏡下に経胃的ドレナージを施行した.ドレナージ後に炎症所見と症状は改善し,膿瘍腔は著明に縮小した.ロストステントは自然脱落し,以降は症状の再燃を認めていない.膵管ロストステントの閉塞に伴う膵膿瘍とそれに対する超音波内視鏡下経消化管的ドレナージ術による治療の報告はなく,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.38.420