急性膵炎を契機に発見された膵管癒合不全を伴う腹側膵回転異常の1例

症例は69歳,男性.心窩部痛の精査目的で施行した造影CT検査で,背側膵に限局した膵炎,背側膵管の軽度拡張,膵鉤部の欠損,腸回転異常の所見を認めた.MRCPでは膵管癒合不全を認め,膵管癒合不全に伴う軽症の背側膵炎と診断した.超音波内視鏡検査により腹側・背側膵管の評価を行ったところ,腹側膵管が背側膵管よりも頭側に位置し,膵鉤部が欠損している所見を認め,腹側膵回転異常と診断した.これは,膵の発生過程において,腸管の回転異常によって腹側膵原基の回転に異常が生じ,膵頭上部の位置で背側膵原基に癒合したことに由来すると考えた.背側膵管の拡張は保存的加療で改善し,副乳頭経由の背側膵管に対するドレナージ術は要さ...

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Veröffentlicht in:膵臓 2023/10/31, Vol.38(5), pp.348-354
Hauptverfasser: 住谷, 秀仁, 小岩井, 明信, 廣田, 衛久, 高須, 充子, 佐藤, 賢一
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は69歳,男性.心窩部痛の精査目的で施行した造影CT検査で,背側膵に限局した膵炎,背側膵管の軽度拡張,膵鉤部の欠損,腸回転異常の所見を認めた.MRCPでは膵管癒合不全を認め,膵管癒合不全に伴う軽症の背側膵炎と診断した.超音波内視鏡検査により腹側・背側膵管の評価を行ったところ,腹側膵管が背側膵管よりも頭側に位置し,膵鉤部が欠損している所見を認め,腹側膵回転異常と診断した.これは,膵の発生過程において,腸管の回転異常によって腹側膵原基の回転に異常が生じ,膵頭上部の位置で背側膵原基に癒合したことに由来すると考えた.背側膵管の拡張は保存的加療で改善し,副乳頭経由の背側膵管に対するドレナージ術は要さずに膵炎は軽快した.腹側膵回転異常と膵管癒合不全の合併例の報告はなく,腹側膵管の評価を行うことで腹側膵の位置異常を示すことができた1例と考え報告する.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.38.348