内視鏡治療が奏効せず胃静脈瘤からの出血を繰り返し経皮的静脈瘤塞栓術を要した巨大膵漿液性嚢胞腫瘍の1例

症例は60代男性.14年前より腹部腫瘤を自覚していたが,症状がないため医療機関を受診しなかった.検診で腹部腫瘤を指摘され当院を受診した.画像検査で上腹部に26cm大の巨大な腫瘍を認めた.腫瘍は嚢胞成分と充実成分が混在しており,mixed typeの膵漿液性嚢胞腫瘍(SCN)が疑われた.総肝動脈が腫瘍内を走行していること,腫瘍周囲の静脈瘤が発達していることから手術適応外と判断し経過観察の方針となった.しかし6年後に胃静脈瘤からの出血を繰り返すようになり,内視鏡的止血術では効果不十分であった.経皮的腫瘍生検によりSCNと確定診断をした後,胃静脈瘤に対し血管内治療を行った.胃静脈瘤は豊富な腫瘍血流に...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:膵臓 2023/10/31, Vol.38(5), pp.337-347
Hauptverfasser: 米山, 翔一郎, 児玉, 亮, 中嶋, 太郎, 井田, 真之, 横田, 有紀子, 三枝, 久能, 牛丸, 博泰
Format: Artikel
Sprache:jpn
Schlagworte:
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:症例は60代男性.14年前より腹部腫瘤を自覚していたが,症状がないため医療機関を受診しなかった.検診で腹部腫瘤を指摘され当院を受診した.画像検査で上腹部に26cm大の巨大な腫瘍を認めた.腫瘍は嚢胞成分と充実成分が混在しており,mixed typeの膵漿液性嚢胞腫瘍(SCN)が疑われた.総肝動脈が腫瘍内を走行していること,腫瘍周囲の静脈瘤が発達していることから手術適応外と判断し経過観察の方針となった.しかし6年後に胃静脈瘤からの出血を繰り返すようになり,内視鏡的止血術では効果不十分であった.経皮的腫瘍生検によりSCNと確定診断をした後,胃静脈瘤に対し血管内治療を行った.胃静脈瘤は豊富な腫瘍血流による求肝性であり,超音波ガイド下に左胃静脈を穿刺し胃静脈瘤へn-ブチルシアノアクリレートを注入し塞栓した.治療により胃静脈瘤は改善した.本症例は手術適応外の巨大なSCNに経皮的静脈瘤塞栓術を要した初の症例報告である.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.38.337