ロボット支援下膵切除の現状と今後の課題

ロボット支援下手術は,拡大立体視効果と多関節機能がもたらす動作制限からの解放によって,精緻で安全な低侵襲手術を可能にする技術として期待されている.特に膵体尾部切除では,低侵襲手術の開腹術に対する短期成績の優位性が高いエビデンスレベルで示され,ロボット支援下手術は精緻性や開腹移行の回避による長期成績の改善,さらに腹腔鏡下手術困難例への適応拡大が期待されている.一方,膵頭十二指腸切除では,腹腔鏡手術に比べて再建操作に有利との蓋然性を有しており,現在エビデンスが集積されつつある.進行膵癌治療が強力な全身化学療法やtotal neoadjuvant therapyと膵切除との集学的治療へ大きく変化する...

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Veröffentlicht in:膵臓 2021/10/30, Vol.36(5), pp.293-300
Hauptverfasser: 石戸, 圭之輔, 木村, 憲央, 脇屋, 太一, 長瀬, 勇人, 袴田, 健一
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:ロボット支援下手術は,拡大立体視効果と多関節機能がもたらす動作制限からの解放によって,精緻で安全な低侵襲手術を可能にする技術として期待されている.特に膵体尾部切除では,低侵襲手術の開腹術に対する短期成績の優位性が高いエビデンスレベルで示され,ロボット支援下手術は精緻性や開腹移行の回避による長期成績の改善,さらに腹腔鏡下手術困難例への適応拡大が期待されている.一方,膵頭十二指腸切除では,腹腔鏡手術に比べて再建操作に有利との蓋然性を有しており,現在エビデンスが集積されつつある.進行膵癌治療が強力な全身化学療法やtotal neoadjuvant therapyと膵切除との集学的治療へ大きく変化する中,精緻で低侵襲なロボット支援下手術はこれらの戦略との親和性が高いと期待される.今後はRCTを含めたエビデンスレベルの高い臨床研究によって,腫瘍学的長期成績を検証する必要がある.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.36.293