エラスターゼ1高値を契機に発見され腫瘤形成を認めた高異型度膵上皮性腫瘍性病変の1例
症例は70歳代,男性.検診で血清エラスターゼ1の高値,主膵管拡張を指摘され,精査加療目的に当科紹介となった.Dynamic CTおよびMRIで淡く不均一に造影される20mm大の腫瘤を膵鉤部に認め,通常型膵癌,膵腺房細胞癌,膵神経内分泌腫瘍などを鑑別診断として考え,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病理検査では狭窄部の主膵管にクロマチンの増量を伴った核腫大と乳頭状増殖を認めた.膵管外への浸潤は認めず,高異型度膵上皮性腫瘍性病変(high-grade PanIN)と診断された.CTで認めた腫瘤は腫瘍周囲の脂肪組織の侵入と腺房の萎縮・著明な線維化であった.術後経過は良好で20日目に退院,血清エ...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 膵臓 2020/12/28, Vol.35(6), pp.568-574 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , , , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Schlagworte: | |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 症例は70歳代,男性.検診で血清エラスターゼ1の高値,主膵管拡張を指摘され,精査加療目的に当科紹介となった.Dynamic CTおよびMRIで淡く不均一に造影される20mm大の腫瘤を膵鉤部に認め,通常型膵癌,膵腺房細胞癌,膵神経内分泌腫瘍などを鑑別診断として考え,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病理検査では狭窄部の主膵管にクロマチンの増量を伴った核腫大と乳頭状増殖を認めた.膵管外への浸潤は認めず,高異型度膵上皮性腫瘍性病変(high-grade PanIN)と診断された.CTで認めた腫瘤は腫瘍周囲の脂肪組織の侵入と腺房の萎縮・著明な線維化であった.術後経過は良好で20日目に退院,血清エラスターゼ1は基準値となった.早期の膵癌の特徴として限局性の脂肪変性や膵実質の萎縮が指摘されており,本例における脂肪組織の侵入と腺房の萎縮・著明な線維化による腫瘤形成との関連も含め,文献的考察を加えて報告する. |
---|---|
ISSN: | 0913-0071 1881-2805 |
DOI: | 10.2958/suizo.35.568 |