通常型膵管癌術後の残膵に発生した破骨型多核巨細胞を伴う退形成癌の1切除例

症例は64歳,男性.膵尾部癌の診断で膵体尾部切除術を施行し,病理組織学的に中分化型管状腺癌と診断された.S-1内服による補助化学療法を1年間行い外来通院中であった.初回手術より6年3か月無再発で経過していたが,血液検査にてCA19-9値の上昇,CT検査で残膵頭部に30mm大の腫瘤性病変を認めた.EUS-FNAを施行し,組織診で多核巨細胞を含む高度の核異型を呈する腫瘍細胞の増生像を認めた.遠隔転移所見はなく残膵全摘を施行した.腫瘍は線維性被膜を有する境界明瞭な結節性病変で,破骨型多核巨細胞を多数伴い,多形性に富む腫瘍細胞の充実性増殖像を呈しており,破骨型多核巨細胞を伴う退形成癌と診断した.退形成...

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Veröffentlicht in:膵臓 2020/10/30, Vol.35(5), pp.455-462
Hauptverfasser: 中島, 隆善, 生田, 真一, 笠井, 明大, 一瀬, 規子, 友野, 絢子, 浜野, 郁美, 岡本, 亮, 仲本, 嘉彦, 相原, 司, 栁, 秀憲, 吉本, 崇典, 南堂, 吉紀, 川添, 智太郎, 梶本, 仙子, 覚野, 綾子, 山中, 若樹
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は64歳,男性.膵尾部癌の診断で膵体尾部切除術を施行し,病理組織学的に中分化型管状腺癌と診断された.S-1内服による補助化学療法を1年間行い外来通院中であった.初回手術より6年3か月無再発で経過していたが,血液検査にてCA19-9値の上昇,CT検査で残膵頭部に30mm大の腫瘤性病変を認めた.EUS-FNAを施行し,組織診で多核巨細胞を含む高度の核異型を呈する腫瘍細胞の増生像を認めた.遠隔転移所見はなく残膵全摘を施行した.腫瘍は線維性被膜を有する境界明瞭な結節性病変で,破骨型多核巨細胞を多数伴い,多形性に富む腫瘍細胞の充実性増殖像を呈しており,破骨型多核巨細胞を伴う退形成癌と診断した.退形成癌の関与した残膵癌の報告は少なく,自験例に文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.35.455