嚢胞周囲に限局した自己免疫性膵炎の1例

症例は68歳,女性.2009年にIgG4関連涙腺・唾液腺炎と診断され2011年にステロイドを導入し症状が改善したため中止となり,2017年7月に血清IgG4上昇を指摘された.CTで膵尾部に類円形で周囲に遅延性濃染を伴う嚢胞を認めた.MRI T1強調像で嚢胞内部は低信号,周囲は膵実質よりも軽度低信号を呈し,T2強調像で内部は高信号,周囲は低信号を呈していた.超音波内視鏡で嚢胞と膵実質の間に一層の低エコーを認め膵管造影で嚢胞と主膵管に交通はなかった.粘液性嚢胞腫瘍,嚢胞変性を伴った膵神経内分泌腫瘍を考え腹腔鏡下膵体尾部切除を施行した.病理組織学所見で嚢胞周囲に炎症細胞浸潤と線維化を認め,炎症細胞の...

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Veröffentlicht in:膵臓 2019/10/25, Vol.34(5), pp.239-246
Hauptverfasser: 小澤, 真希子, 渡邉, 貴之, 芦原, 典宏, 倉石, 康弘, 中村, 晃, 金井, 圭太, 松本, 有機, 小林, 実喜子, 田中, 榮司
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は68歳,女性.2009年にIgG4関連涙腺・唾液腺炎と診断され2011年にステロイドを導入し症状が改善したため中止となり,2017年7月に血清IgG4上昇を指摘された.CTで膵尾部に類円形で周囲に遅延性濃染を伴う嚢胞を認めた.MRI T1強調像で嚢胞内部は低信号,周囲は膵実質よりも軽度低信号を呈し,T2強調像で内部は高信号,周囲は低信号を呈していた.超音波内視鏡で嚢胞と膵実質の間に一層の低エコーを認め膵管造影で嚢胞と主膵管に交通はなかった.粘液性嚢胞腫瘍,嚢胞変性を伴った膵神経内分泌腫瘍を考え腹腔鏡下膵体尾部切除を施行した.病理組織学所見で嚢胞周囲に炎症細胞浸潤と線維化を認め,炎症細胞の多くはIgG4陽性細胞であり自己免疫性膵炎と診断した.嚢胞周囲の限局型自己免疫性膵炎で他疾患との鑑別は困難であったが,IgG4関連疾患の既往からステロイド投与を検討すべきであった1例を経験したので報告する.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.34.239