自己免疫性膵炎類似の間質所見を呈した膵尾部癌の1例

症例は68歳男性.早期胃癌に対する加療時に施行したスクリーニング目的のCTにて,膵尾部に遅延濃染を呈する30mm大の腫瘤を認めた.血清IgG4値が258mg/dlと高値であり自己免疫性膵炎(AIP)も疑われたが,EUS-FNAにて腺癌の組織像を認め,膵尾部癌の診断で膵体尾部切除術を施行した.病理組織学的所見では,膵癌組織に加えて周囲に著明な線維化とリンパ球形質細胞浸潤を認めた.あわせて閉塞性静脈炎と著明なIgG4陽性形質細胞浸潤というAIPに類似した組織像も認めた.術後,血清IgG4値は144mg/dlに低下した.近年,AIPに膵癌を合併した症例や,AIPに類似した間質所見を呈する膵癌症例の報...

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Veröffentlicht in:膵臓 2013, Vol.28(5), pp.627-635
Hauptverfasser: 中野, 絵里子, 菅野, 敦, 正宗, 淳, 三浦, 晋, 滝川, 哲也, 有賀, 啓之, 海野, 純, 濱田, 晋, 粂, 潔, 菊田, 和宏, 廣田, 衛久, 坂田, 直昭, 元井, 冬彦, 江川, 新一, 海野, 倫明, 藤島, 史喜, 石田, 和之, 下瀬川, 徹
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:症例は68歳男性.早期胃癌に対する加療時に施行したスクリーニング目的のCTにて,膵尾部に遅延濃染を呈する30mm大の腫瘤を認めた.血清IgG4値が258mg/dlと高値であり自己免疫性膵炎(AIP)も疑われたが,EUS-FNAにて腺癌の組織像を認め,膵尾部癌の診断で膵体尾部切除術を施行した.病理組織学的所見では,膵癌組織に加えて周囲に著明な線維化とリンパ球形質細胞浸潤を認めた.あわせて閉塞性静脈炎と著明なIgG4陽性形質細胞浸潤というAIPに類似した組織像も認めた.術後,血清IgG4値は144mg/dlに低下した.近年,AIPに膵癌を合併した症例や,AIPに類似した間質所見を呈する膵癌症例の報告がある.膵腫瘍の鑑別には,臨床像とあわせてEUS-FNAを用いた病理組織学的診断が有用と考えられた.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.28.627